- 統計システムの主な拡充機能について
- 日次のデータ入力・集計のフローについて
- 日別統計で可能となる分析結果について
ホテル統計のデータ入力用システムを、8月調査分からリニューアルしました。今回拡充した機能は大きく4つあります。
一つ目は、各施設担当者への入力依頼メールをシステムとの連携です。システム側でお知らせを投稿すると同時に、各ホテル担当者のアドレス宛にメールが届くようになります。
二つ目は、エラー検出機能です。これまでは、提供いただいたデータが稀に矛盾をしていることがあり、その都度チェックをして個別に修正依頼の連絡を行っておりましたが、今後は、データ入力時にご自身で気づいていただけるようになります。
三つ目は、RevPAR(販売可能な客室1室あたりの収益を表す値)やADR(客室平均単価)といった専門用語の定義を、画面上ですぐに確認していただけるように、説明文をポップアップで表示させる機能を作りました。
四点目は、価格帯やエリア別の集計機能を拡充し、より詳細な分析結果を、皆さまにいち早くデータをお届けできるようにしました。
下のスライドは、さきほどのパートでもご紹介した、日次の統計データです。前述の月毎のデータとは、別のシステムで集計しています。
各施設担当者様は、施設毎にご用意したGoogleのスプレッドシートに日々の稼働率を入力するだけで、市内施設の稼働率の平均値をリアルタイムで把握することが可能となります。Googleのスプレッドシートは、他の施設からアクセスできないようアクセス制限を設けております。このシートに随時データを入力していただくと、自動的に協会側がアクセスできるスプレッドシートにデータが集約され、集計された平均値が即座に各施設のスプレッドシートに返信されるという仕組みになっています。
次のスライドは、各施設担当者様の入力用のスプレッドシートの画面イメージです。左側の赤枠が各施設の日々の客室稼働率を入力していただく欄です。今年と一年前の同日、双方をご入力いただくようになっております。そしてシートの右半分に、集計された平均値が自動的に反映されます。現時点の回答施設数も併せて表示されます。皆さまになるべく早く入力していただくと、より精度の高い最新データを、お互いに把握できるようになっております。
日毎のデータを入力していただけるようになりつつあることで、今までにないデータ分析が可能となりました。なかでも特に観光業界で大事だと言われるのが、曜日別の需要格差です。表の左側は、翌日が休みではない(休前日でない)日です。月曜と火曜は翌日が平日のため、当然ですが客室稼働率は低いです。一方で表の右側は、翌日が休みである休前日です。金曜や土曜は翌日が休みなので、稼働率が高くなっています。
ここで注目いただきたいのが、日曜や祝日です。日曜や祝日は、大抵は翌日が平日のため稼働率は低くなりがちです。しかしながら、祝日が絡んだ3連休やGW中は翌日が休みとなることがあるため、日曜や祝日であっても稼働率が高くなっていることが分かります。
つまり、日曜にもう一泊してもらえるための後押し、他の平日の宿泊をしてもらうための後押しとでは、難易度が大きく異なると考えられます。翌日が平日であっても、何らかのきっかけがあれば、もう一泊してもらえる可能性が高いのです。こうしたデータ分析の結果を踏まえて、日曜にもう一泊してもらうことを目的としたキャンペーン(京都「にち・とま」キャンペーン)を行っています。
このように、皆さまからのデータが集まるほど、政策の精度を高めることができ、業界の支援につなげることができます。こうした事業の主旨にご賛同いただける施設の皆さまからのご参画をお待ちしてます。
このレポートは、データ月報に関するウェビナー「宿泊データから読み解く京都観光のこれから」から抜粋してご紹介しています。
各パートのレポートは、それぞれ以下のリンクからご確認ください。
プロフィール
公益社団法人京都市観光協会 DMO企画・マーケティング専門官
京都市出身。京都大学大学院農学研究科修了後、株式会社三菱総合研究所に入社。
リサーチャーとして、官公庁事業の公共政策評価や、航空業界における経済効果分析、東京都を始めとした観光マーケティング業務に従事。2016年、京都市におけるDMO立ち上げを機に、マーケティング責任者として京都市観光協会へ転職。経営戦略の策定、法人サイトの刷新などのコーポレートブランディング、統計データ分析、メディア運営設計などを手がける。
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