京都市海外情報拠点レポート(2022年10月~2023年3月分)

UPDATE :
2023. 05. 01
CATEGORY :
海外レポート

SUMMARY

京都市観光協会及び京都文化交流コンベンションビューローでは、世界6都市において、京都市海外情報拠点を運営しています。このたび、2022年度下期分の拠点レポートを公開いたしましたので、お知らせします。

<以下、各拠点により自由記述となります>

--ニューヨーク-- 報告トピック

・訪日渡航制限の緩和を受け、在ニューヨークのジャーナリスト等を含めた対面でのミーティングや、積極的な働きかけによる継続的なメディアリレーションのサポートを行う機会を得た。
・パンデミック以降、アメリカの経済状況は変動し、消費者心理も激変したことから、 今後もアメリカの旅行業界における最新情報や変化、消費者行動に関する適切なマーケットインサイトが必要となってくる。
・日本の入国制限が緩和された10月以降は、ニューヨークから来日するメディアへ直接支援する機会も多く、複数の連携ができた。また、JNTO主催のジャパンショーケースの商談会へも、京都市に代わり対応し、北米のトラベルアドバイザーへ京都の最新情報について提供ができた。
・メディア等に京都の観光情報を提供する際は、適切なターゲットを絞った働きかけを行うこと、デスティネーションの最新情報を共有すること等を前提に、京都の文化事業全般や新規ホテル、新しい体験コンテンツ、スローでサステナブルな旅、伝統芸能・伝統産業への現代的なアプローチなどについて発信した。

--ロサンゼルス-- 報告トピック

・訪日渡航制限の緩和を受け、ロサンゼルスを含む西海岸のジャーナリスト等を含めた対面のミーティングや 、積極的な働きかけによる継続的なメディアリレーションのサポートを行う機会を得た。
・2月にはパンデミック以降初の機会を得て、観光協会と連携し京都視察を行うことができた。協会の事業である「インバウンド・イノベーション・プログラム」では、インバウンド・カフェの参加者に向けてアメリカの旅行市場の情報やプロモーションの提案なども行った。
・今後の課題として、新たな感染症のリスクや、初期回復期間後の旅行業界への影響、銀行破綻や金利上昇による米国内外での大規模な景気後退の可能性、政治情勢に影響された消費者(旅行意欲)の心理的な影響といったところに注意が必要である。
・ 2024 年は米国大統領選挙があり、消費者は選挙の年には大きな旅行や消費を控える傾向があるという調査結果がある。

--ロンドン-- 報告トピック

・ラグジュアリーなテーマに基づき、英国内を始めジャーナリストを中心に、日本在住のメディアや特にパンデミック以降増加したフリーランスのジャーナリストへも拡大して連絡を取り、取材支援を行った。
・メディアからの問合せ対応、プレスツアーの企画、プレスリリースの作成、また、ニュース記事や観光協会が提供した情報から参照したメディアアラートの作成と配信、メディアへのフォローアップによる取材記事の確保、ターゲットとなるラグジュアリーメディアとのミーティングと関係維持、クリッピング、モニタリング、独自のプレスリスト更新と新しいコンタクトの追加などの対応を行った。
・渡航制限が緩和され、 JNTO ロンドン事務所主催のプレストリップにおいては、京都市内の行程を調整し、有力なジャーナリストの紹介も実施した。
・メディアの興味としては、家族向け旅行、新規開業の宿泊施設、食と文化、伝統産業、まだ知られていない場所やコンテンツ、ウェルネス、季節行事、建築デザイン関連、ガイド情報といったものが多く見受けられた。
・メディアの編集者は常に型にはまらない、ニュースになるような体験を求めており、最も適切な取材先を選ぶことで、より多くの記事掲載を獲得できる可能性がある。例えば新規のラグジュアリーホテルの開業情報等については、できるだけ早く、画像とともに提供することが求められる。
・特に、文化施設での限定的な非公開の体験に関する情報が多く求められるため、より多くのコラボレーションを行い、ラグジュアリーな特注を作ることが必要になる。また、メディアへの発信時には、体験プログラム(提供される商品)が長期にわたって予約可能であることも重要となる。
・PRキャンペーンのテーマは「旅のトレンド」を含めていくことも重要である。例えば Netflix で流行している「The Makanai」シリーズにインスパイアされた京都の食事スポットを紹介する情報や体験を制作するといった、 流行コンテンツから着想を得て、京都のお食事処を紹介するといった提案が求められる。

--パリ-- 報告トピック

・毎月のセールスコールや面談、プレスリリースの配信などを通じて、現地メディアやエージェントの京都及び京都関連ニュースの訴求、露出の拡大に注力した。
・2022年10月に日本の入国規制が緩和(個人旅行が解禁)されたことにより、フランスからの訪日客がコロナ前の約半数に戻った。
・メディアや旅行会社も特に10月以降、日本の販売や露出に関して盛り上がりを見せ、10月以降取材に日本を訪れるメディアが増えた。特に「自然」を求めるメディアが増え、東京+地方(大都市を除く)という訪問が多い印象を受けた。京都の自然エリアはまだ知名度が低く感じ、今後の可能性が期待できる。
・フランスではグリーンツーリズム、サステナブルなどのトピックがトレンドとなっており、来年度はこれまでの「京都」のイメージに加え、京都の「自然」をアピールしていくことをお薦めする。 また、早期に戻ってくると思われる消費者層(富裕層、リピーターなど)への訴求を意識して、注力するメディアやプレスリリース、セールス内容を上手く調整することが必要である。
・現地旅行事業者向けセミナー・消費者向けウェビナーとして、11月に消費者向けウェビナー、1月にパリの現地旅行会社向けセミナー、2月にルクセンブルクの 現地旅行会社向けセミナーを実施した。

--シドニー-- 報告トピック

・今年度前半のオーストラリアでは、海外デスティネーションへの渡航緩和により、シンガポールをはじめ、海外旅行への需要が既に高まっていた。訪日旅行に関しては、旅行エージェントや消費者の興味は強く保たれたが、日本へのレジャー目的での入国に対する規制により、身動きが取れない状態であったため、8月頃には訪日規制緩和を望む声が強くなっていった。
・旅行エージェントでは、2022年秋以降の「見込み予約」を受けており、規制が緩和されない限り、特にスキー旅行など大量のキャンセルが出るとの声が上がっていた。訪日旅行の人気は相変わらず高く、10月の規制緩和を受け、いよいよ本格的に動き出し、大手旅行会社などが、訪日旅行の特集を組むなどし、DMやSNSなどで訪日ツアー販売の広告の増加傾向が続き、実際の予約件数が大きく伸び始めた。現在はインフレの影響もあり、海外旅行を少し先延ばしにする傾向も多少出てきているが、問合せや、高まる需要に旅行エージェントは多忙を極めている。
・コロナ禍で失われたスタッフの再雇用とビジネスの再構築を始めるものの、業界の人手不足は未だに深刻であり、今現在も問題となっている。新規スタッフの教育やビジネス再構築のために、引き続き信頼性の高いデスティネーションの情報が非常に重要になっており、これまで以上にBtoBの関係構築が重要になってきている。
・メディアについても、海外デスティネーションの露出が増えている。10月の訪日規制緩和以降は、メディアからの支援依頼の問合せも急増しており、今後も日本の記事に関する露出も続くと考えられる。
・オーストラリアマーケットでは、特にリピーター層など、地方、サステナブルな旅行、ゴールデンルート以外の新たな旅行先に目を向ける旅行者も増加しており、メディアも注目している。
・旅行者の興味・関心や旅行形態が多様化する中、今後も引き続き業界媒体などを介した露出によるメディアの認知や、メディア支援のファムトリップによる記事露出など、京都市のPR活動等を継続的に行うことにより、世界における旅行先としての京都の知名度やブランド力の向上を図る。併せて、現地の旅行動向等の情報を収集し、市場の状況に応じた的確な情報発信等を行い、競争激化するデスティネーション・マーケティング環境の中で、京都市の価値を守り、オーストラリア市場で可視化し確実にアピールしていくことが重要だと考える。

--台北-- 報告トピック

・2022年度の上半期に、台南市図書館と連携し、京都観光セミナー、京都観光モラルの露出掲載、SNSキャンペーン等のイベントを実施し、Facebookでのオンラインやオフラインも含め、多くの参加者から良い反応を頂いた。
・2022年度の上半期よりワクチンの接種率が上昇し、新規感染者数の減少に伴い、台湾国内の航空業者と旅行会社はいよいよ動き出した。旅行会社は少しずつ社員の無給休暇制度を解除するほか、海外旅行解禁に備え、新人社員を募集し始めており、航空会社は人気である日本路線の就航を大都市である東京、大阪路線を優先し復航した。
・下半期に入り、台湾でも 10/13 から国境を開放すると正式に発表し、海外ツアーの出入国に対する制限も全面的に撤廃された。水際措置が緩和され、海外への「リベンジ旅行」の需要が高まった。特に台湾では、旅行に適する連休が多い年であったことから、旅行会社への問合せが殺到した。売り上げも大幅に増加し、航空券と旅行商品の価格は、需要が供給を上回ったため、コロナ前よりも大幅に値上がりした。
・台湾観光局の年間統計データによると、2022年の出国人数は約148万人、2021年比311.92%増、その中で日本が最も多く、計約35万人、全体の出国人数の23.89%を占めた。2023年1月の訪日台湾旅客数は前年同月の約193倍の266,999人。また、日本行きのフライトは大都市以外、地方路線の復航とチャーターも次々と発表され、今後訪日人数の増加が期待できる。しかし、現時点では、観光業界、航空業界は人員不足のため、旅行関係者がコロナ前の水準に回復するのは 2024 年と予想されている。

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公益社団法人 京都市観光協会

promotion@kyokanko.or.jp

企画推進課 京都市海外情報拠点担当

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