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調査結果のポイント
78 %
インバウンドの回復や「全国旅行支援」に加え、桜の開花が早まったことで、客室稼働率は昨秋に匹敵
京都市内主要ホテル111施設における2023年3月の客室稼働率は78.0%となった。前月(2月)の63.1%からは14.9ポイント増、前年同月の45.2%からは32.8ポイント増となった。インバウンドの回復や「全国旅行支援」の下支えに加えて、桜の開花が早まったことで、コロナ禍において最高値となった2022年11月の80.2%に迫る高稼働となった。ただし、中国本土からの需要回復が遅れているため、コロナ禍前である2019年同月の85.0%には届かなかった。
+1.8 %
日本人延べ宿泊数の2019年同月比は、コロナ禍前からの対象施設のみで比較すると1.8%増
日本人延べ宿泊数は522,599 泊となり、前月(2月)の411,728 泊から26.9%増となった。調査対象施設数の変化を考慮しない場合、前年同月比は24.8%増、2019年同月比は64.2%増となった。コロナ禍前からの調査対象かつ開業済みであった施設のみ(45施設)で比較すると、前年同月比は27.5%増、2019年同月比は1.8%増となった。2019年同月を超えたのは、昨年12月以来の3か月ぶり。「全国旅行支援」の下支えや、例年よりも桜の開花が早まったことで、日本人による宿泊需要が高まったと考えられる。
37.5 %
111.80% (前月比)
外国人延べ宿泊数は前月から倍増し、外国人比率は37.5%となりコロナ禍での最高値を更新した
外国人延べ宿泊数は313,203泊となり、前月(2月)の147,869泊から約2倍となった。調査対象施設数の変化を考慮しない場合、前年同月比は12,736.2%増、2019年同月比は9.6%増となった。コロナ禍前からの調査対象かつ開業済みであった施設のみ(45施設)で比較すると、前月比は110.0%増、前年同月比は12,753.8%増、2019年同月比は33.2%減となった。
総延べ宿泊者数に占める外国人比率は37.5%と、前月(2月)の26.4%から11.1ポイント増加し、コロナ禍での最高値を更新した。ただし、2019年同月の47.3%からは9.8ポイント減少となり、まだ本格的に回復していない中国本土を中心とした外国人による宿泊需要の伸びしろが残っているといえる。
昨秋からの入国規制緩和を受け、桜の鑑賞を目当てにした欧米方面からの宿泊者の割合が高まった
外国人延べ宿泊数の国・地域別構成比でみると、アメリカが26.4%と最も多く、次いで台湾が10.0%、韓国が6.3%となった。前月までは東アジアの割合が多かったが、今月は欧米の割合が多くなった。昨秋からの入国規制緩和を受け、桜の鑑賞を目当てにして訪日旅行を計画してきた欧米方面からの宿泊需要が顕在化したものと考えられる。コロナ禍前からの調査対象かつ開業済みであった施設(45施設 )における、国・地域別での延べ宿泊数の2019年同月比は、アメリカ、ドイツ、中東諸国での増加が目立った。
15,408 円
5.50% (2019年同月比)
平均客室単価、客室収益指数ともに2019年同月を上回り、コロナ禍での最高値を更新した
平均客室単価は19,754円となり、前年同月の13,758円からは43.6%増、2019年同月の17,185円からは14.9%増となった。客室収益指数(平均客室単価に客室稼働率を乗じた指標で、1室あたりの売上高に相当する)は15,408円となり、前年同月の6,219円から147.8%増、2019年同月の14,607円からは5.5%増となった。平均客室単価、客室収益指数ともに2019年同月を上回り、コロナ禍での最高値を更新した。宿泊需要の高まりに応じた価格設定や、人件費・原材料費高騰などに対応した価格設定をとる施設が増えていると考えられる。
55.8 %
1.4pts (2019年同月差)
旅館の客室稼働率は55.8%となり前月から上昇、2019年当時と同水準となった
市内主要旅館26施設における3月の稼働率は55.8%となり、前月(2月)の41.3%から14.5ポイント増、前年同月の27.9%から27.9ポイント増、コロナ禍前である2019年同月の57.2%から1.4ポイント減となった。「全国旅行支援」の下支えやインバウンドの回復などにより、2019年当時と同水準となった。
152.1
42.1 (前月差)
「行こう指数」は、前月から大幅に増加、桜の開花に伴って観光スポットの検索量が増えたものと思われる
日本人による京都観光への訪問意向「行こう指数」の2023年3月の値は152.1(2019年の平均値を100とした場合)となり、前月(2月)の110.0から大幅に増加した。桜の開花シーズンとなったことで観光スポットの検索量が増えたことに加えて、京都に関わる映画・公演などの注目が集まったことで、「行こう指数」が高まった。
58,580 室
0.10% (前年同月比)
2022年度の京都市内宿泊施設数は3年連続で前年から減少、客室数も2014年以降初めて前年から減少
2023年3月末時点での京都市内における営業許可を受けた宿泊施設の施設数は、21軒開業、23軒廃業、差し引き2軒減少して、3,444軒となり、前年同月の3,567軒からは3.4%の減少となった。総客室数は58,580室となり、前年同月比0.1%の減少となった。
2022年度の通算新規開業数は143件、廃業数は266件となった。ホテル・旅館施設数、簡易宿所施設数はともに前年から減少した。客室数も前年比0.1%減となり、年度末時点の客室数の前年比が減少に転じるのは京都市が発表する統計を遡ることができる2014年以降では初めてである。
124
43.7pts (前年同月差)
日帰り客を含めた市内の日本人来街者指数は、2019年同月を上回った
2023年3月の来街者指数は124.0(2019年の平均値を100とした場合)となり、前年同月の80.3を43.7ポイント上回った。また、コロナ禍前である2019年同月の102.7を上回った。
11.3 億円
2.5pts (2019年同月差)
市内4百貨店の免税売上額は11.3億円と前月からは半減となり、昨秋頃の水準に戻った
2023年3月の市内4百貨店における免税売上額は11.3億円と前月(2月)からは半減となった。
コロナ禍前である2019年3月(17.3億円)からは34.5%減となり、これは昨秋頃と同程度の水準である。3月の総売上額194.6億円に占める免税売上額の割合は5.8%で、2019年同月の8.3%を2.5ポイント下回った。
+63.9 %
38.80% (2019年同月比)
観光案内所の相談者数は2019年同月比で38.8%減となり、客室稼働率等と比べると回復が遅れている
2023年3月の相談者数は前月(2月)から63.9%増となった。しかしながら、2019年同月比では38.8%減に留まっており、客室稼働率等と比べると回復が遅れている。コロナ禍や情報通信技術の発達にともなって旅行者の情報収集方法が変化しつつあることで、今後も観光案内所を利用する人数はコロナ禍前の水準にまでは回復しない可能性がある。
4月以降の稼働率の予測値は、前回の発表値から下振れし、当面はコロナ禍前の水準に満たない状況が続く
3月時点の今後の客室稼働率の予測値は、4月が77.7%、5月が76.8%、6月が68.3%となった(コロナ禍前の同時期の稼働率は、2019年4月89.9%、2019年5月83.1%、2019年6月79.8%)。今年は桜の開花が観測史上2番目に早かったことで、4月に入ってからの花見需要が減少し、例年よりも4月の稼働率はやや低くなる見込みである。また、入国制限緩和を待ちわびていた訪日客の需要(中国本土を除く)もこの春で一旦ピークを迎えるものと思われる。今後は人手不足を解消しつつ、より質の高い体験を提供できる体制や環境整備に注力していく必要がある。
なお、中国本土との間での出入国制限については、日本側では4月5日から条件付きで陰性証明を不要にするなど緩和されたが、現時点では、中国からの訪日団体旅行は解禁されていない。定期航空路線の回復も限定的であるため、中国本土からの需要の回復の見通しは不透明である。
参考)新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等の期間(京都・東京)
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調査仕様
全体概要
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義しています。
※過去の調査結果はこちらからご覧ください。
調査対象
2023年3月時点 | ホテル | 旅館 | ||
施設数 | 客室数 | 施設数 | 客室数 | |
調査対象 | 111 | 19,333 | 26 | 670 |
市内全体 | 283 | 37,268 | 367 | 5,311 |
カバー率 | 39.2% | 51.9% | 7.1% | 12.6% |
- 平成30年の旅館業法改正にともないホテル・旅館の区分が廃止されたため、市内全体におけるホテルの施設数および客室数は、区分が廃止される直前までの旅館の数値に変動が無いものと仮定して算出している。
- 前年と本年では対象施設数が異なる場合があるため、今回発表する前年の数値は昨年の発表値と異なる。
- 客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記ホテル施設数とは対象が一部異なる。
用語説明
- 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
例)100部屋を有する施設にて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
販売可能客室数:80室×30日=2,400室 - 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
- 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
- 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
- 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率
新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて
調査対象期間(2023年3月1日~3月31日)中、対象施設が臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出します。
例)100部屋を有する施設が、以下のように営業をしていた場合
➀ 3月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 3月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 3月21日~31日の期間(11日)は休業
販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率 :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%
(参考)調査対象ホテルにおける2023年3月(3月1日~3月31日)の臨時休業状況
臨時休業日数 | 全日休業 (31日間) | 20日以上~ 31日未満 | 10日以上~ 20日未満 | 10日未満 | 休業なし |
ホテル施設数 | 0
(0.0%) | 0
(0.0%) | 0
(0.0%) | 2
(1.8%) | 109
(98.2%) |
旅館施設数 | 1
(3.8%) | 0
(0.0%) | 1
(3.8%) | 6
(23.1%) | 18
(69.2%) |
参考 京都市における観光調査関係の資料一覧
京都市における観光調査関係の参考資料を一覧化しております。
人流データ、京都観光総合調査、経済全般に関するデータ、宿泊施設数など随時更新しております。
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- 京都市観光協会データ月報は、調査対象施設のみなさまのご協力、ならびに京都市観光協会会員および京都文化交流コンベンションビューロー賛助会員からの会費をもとに運営しております。
- 本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。ただし、P16のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。
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- 京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となります。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主な宿泊施設を対象とする標本調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなります。
京都観光総合調査との関連について
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなります。
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