調査結果のポイント
27 %
5.9pts
市内主要ホテルの客室稼働率は27.0%となり、前月8月から微増も、他都市と比較して京都は厳しい状況が続いている
京都市内主要ホテル100施設における2021年9月の客室稼働率は27.0%となり、前月(8月)の26.8%からは微増、前年同月の32.9%からは5.9ポイント減、コロナ禍前(前々年同月)の82.9%からは55.9ポイント減となった。国内他都市と比べても低い水準が続いている。
-9.6 %
日本人延べ宿泊数は、緊急事態宣言の影響や昨年のGotoトラベルキャンペーンからの反動で前年同月比は減少
日本人延べ宿泊数は205,792泊となり、前月(8月)の227,587泊からは9.6%減となった。前年同月からは12.9%減、前々年同月比では23.1%減となった。4回目の緊急事態宣言(8/20~9/30)が発出された事や、昨年9月時点で始まっていたGoToトラベルキャンペーンの影響で観光需要が回復しつつあった事が要因だと考えられる。
なお、コロナ禍以前から調査対象であった施設のみ(62施設)で比較すると、前年同月比は26.8%減、前々年同月比は44.9%減であり、やはりコロナ禍前の水準を下回っている。
-99.6 %
外国人延べ宿泊数はコロナ禍前比(前々年同月比)99.6%減、18ヶ月連続でほぼゼロの状態が続く
外国人延べ宿泊数は前年同月比0.4%増となったものの、コロナ禍前との比較では99.6%減となり、外国人宿泊客がほぼゼロの状態となって18カ月が経過した。
1.56 泊
0.01泊
1部屋当たり宿泊客数は前年から0.08人減少、1人当たり宿泊数は0.15泊増加した
1部屋当たり宿泊客数は1.49人(前年同月1.57人)、1人当たり宿泊日数は1.56泊(前年同月1.41泊)となった。いずれもコロナ禍前(前々年同月)を下回る水準が続いている。
2,382 円
78.20%
平均客室単価、客室収益指数ともに前年同月より減少し、ホテルの経営は引き続き厳しい状況が続く
平均客室単価は8,823円となり、前年同月の11,455円からは23.0%減となった。客室収益指数(平均客室単価に客室稼働率を乗じた指標で、1室あたりの売上高に相当する)は2,382円となり、前年同月の3,769円からは36.8%減少した。コロナ禍前(前々年同月)の10,944円と比較すると78.2%減となり、ホテルの経営は非常に厳しい状況が続いている。
11.5 %
16.7pts
緊急事態宣言の影響を受けて、旅館の客室稼働率は11.5%と前年同月を大幅に下回る
市内主要旅館32軒における稼働率は11.5%となり、前年同月の28.2%からは16.7ポイント減となった。4回目の緊急事態宣言(8月20日~9月30日)が発出された影響で、この影響を受けやすい修学旅行などの団体旅行の予約の多くがキャンセルされたためだと考えられる。
月間20日以上休業した施設が全体の約6割にのぼり、販売可能客室数は本来の25%程度にまで減少
調査対象施設32軒中6軒(18.8%)が全日休業(予約停止)し、月間20日以上休業した施設は全体の62.6%を占めた。9月の販売可能客室数は、本来販売可能であったと考えられる客室数(月間延べ約2.3万室)の25%程度に留まり、これは1回目の緊急事態宣言(2020年5月)を下回る水準である。
-13.3 %
修学旅行は緊急事態宣言の影響で8~9月の予約の大半が中止となり、年間の需要は13.3%減少した
今年8~9月の修学旅行について、「7月時点での見通し」と「10月時点での実績」を比較すると、91.7%減となり、緊急事態宣言の影響で大幅に減少したことが分かった。一方で、10月~翌3月の見通しは7月調査時点よりも11.7%増加した。8~9月に予定されていた修学旅行の4割程度が下半期に延期されたためだとと推察される。なお、通年(今年4月~翌年3月)で比較すると、10月調査時点の修学旅行の延べ宿泊数は7月調査時点よりも13.3%減、2019年度との比較では25.9%減となった。
84 %
19.3pts
宿泊施設の従業員のワクチン接種完了率は84.0%と、一般の接種率を大きく上回っている
市内主要ホテル・旅館64軒からの回答によると、10月上旬時点の推計では、回答施設の従業員の84.0%がワクチン接種を完了していた。前回調査時点(9月上旬)の64.7%からは19.3ポイント上昇となった。10月頭に職域接種の2回目が実施された事からワクチン接種完了率が高まったと考えられる。
80.6
32.4pts
訪問意向(行こう指数)は、先月8月から増加し、緊急事態宣言明けを見越した旅行の検討がなされた
「行こう指数」の2021年9月の値は80.6となり、前年同月の113.0から32.4ポイント減となったものの、前月(8月)の67.5からは13.1ポイント増となった。10月からの緊急事態宣言の解除を見越して、旅行を検討し始めた人が増えたことで、指数が改善したと考えられる。
56,153 室
1.90%
宿泊施設数は減少する一方で、客室数が増える傾向が続く
2021年9月末時点の京都市内において営業許可を受けている宿泊施設数は3,687件となり、前年同月の3,894件からは5.3%の減少。推定客室数は56,153室となり、前年同月の推定客室数(54,825室)からは1.9%の増加となった。
55.8
20.6pts
市内の人流動向は前年同月を下回っており、前月8月から大きな変化はなかった
スマートフォンの位置情報をもとに集計した市内主要地点39箇所における2021年9月の来街者数は、2019年の平均値を100とした場合55.8となり、前月(8月)の54.4から大きな変化はなかった。4回目の緊急事態宣言の影響と昨年のGoToトラベルキャンペーンからの反動により、前年同月の76.4からは20.6ポイント減、前々年同月の95.8からは40.0ポイント減となった。
市内4百貨店の総売上げは、前年同月比7.7%減、前月より減少幅は縮小した
9月の市内4百貨店の総売上げは前年同月比7.7%減となり、減少幅は前月(9.2%減)と比べ縮小した。昨年9月の免税売上額は外国人の入国制限などで激減していた為、名税売上額の前年同月比は1063.7%増となったが、前々年同月比は93.3%減であり、依然として低水準である。
緊急事態宣言明け最初の週末の客室稼働率は、昨年10月の月間平均値を下回る出足
緊急事態宣言明けの最初の週末のホテルにおける客室稼働率は、10/1(金)が24.0%、10/2(土)が35.4%となった。昨年10月は、GoToトラベルキャンペーンが東京都にも適用されたことで、平日も含めた客室稼働率の月間平均値が41.0%まで回復したが、今年の10月は週末であるにも関わらずこの水準を下回っていることから、前年同月の需要を大きく下回る出足となったと言える。
客室稼働率の予測値は11月に向けて上昇する見込みであり、予測値からは大幅に高まる可能性も
9月時点の予測では、11月の客室稼働率は52.6%に達する見込みである。10月に入り、緊急事態宣言が解除されて自粛ムードが緩和されたことや、国や自治体などによる消費喚起策の発表を待ってから宿泊予約を行う人が増えることが期待されるため、さらに数値が上向く可能性もある。
宿泊予約サイトにおける販売価格も10月後半から年末年始まで前年を上回る水準で推移する
京都市内宿泊施設の客室販売価格は、今後年明け頃まで前年同期よりも高い状況が続く。とくに、11月20日前後の休日や、年末年始の価格が高くなっている。ワクチン接種が進んだ秋以降の需要回復を見越した価格設定がなされていることや、今年は昨年のようにGoToトラベルキャンペーンによる大幅な割引が無いことが影響していると考えられる。
参考)新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等の期間(京都・東京)
出所:京都市HP、東京都HP、GoToトラベルHP等を参考に京都市観光協会で作成
※持続可能な観光の実現に向けて京都観光行動基準(京都観光モラル)に沿った行動の実践を促進するための、市民・観光客を対象にしたキャンペーンの名称。京都観光モラルに賛同、ワクチン接種又はPCR検査陰性証明の提示により、対象店舗での特典付与、抽選を受けることができる。
特設サイト(https://kankou-moral.kyoto.travel/)
調査概要
全体概要
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義しています。
※過去の調査結果はこちらからご覧ください。
調査対象
2021年9月時点 | ホテル | 旅館 | ||
施設数 | 客室数 | 施設数 | 客室数 | |
調査対象 | 100 | 17,593 | 32 | 769 |
市内全体 | 321 | 34,945 | 367 | 5,311 |
カバー率 | 31.2% | 50.3% | 8.7% | 14.5% |
- 平成30年の旅館業法改正にともないホテル・旅館の区分が廃止されたため、市内全体におけるホテルの施設数および客室数は、区分が廃止される直前までの旅館の数値に変動が無いものと仮定して算出している。
- 前年と本年では対象施設数が異なる場合があるため、今回発表する前年の数値は昨年の発表値と異なる。
- P17の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記ホテル100施設とは対象が一部異なる。
分析数値
- 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
例)100部屋を有する施設にて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
販売可能客室数:80室×30日=2,400室 - 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
- 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
- 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
- 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率
新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて
調査対象期間(2021 年9月1 日~9月30日)中、対象施設が臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有する施設が、以下のように営業をしていた場合
➀ 9月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 9月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 9月21日~30日の期間(10日)は休業
販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率 :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%
(参考)調査対象ホテルにおける2021年9月(9月1日~9月30日)の臨時休業状況
臨時休業日数 | 全日休業 (30日間) | 20日以上 31日未満 | 10日以上~ 20日未満 | 10日未満 | 休業なし |
ホテル施設数 | 3
(3.0%) | 1
(1.0%) | 0
(0.0%) | 0
(0.0%) | 96
(96.0%) |
旅館施設数 | 6
(18.8%) | 14
(43.8%) | 0
(0.0%) | 1
(3.1%) | 11
(34.4%) |
その他
京都市観光協会データ月報は、調査対象施設のみなさまのご協力、ならびに京都市観光協会会員および京都文化交流コンベンションビューロー賛助会員からの会費をもとに運営しております。
本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。ただし、P17のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。
各種数値は、データ提供元である宿泊施設等からの訂正等により、後日予告なく修正される場合があります。原則として、後から発表される数値を正しいものとして利用いただくようお願いいたします。
京都観光総合調査との関連について
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなります。
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参考 京都市における観光調査関係の資料一覧
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公益社団法人 京都市観光協会 マーケティング課 堀江、水本、嵯峨
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