京都市観光協会データ月報(2021年8月)

UPDATE :
2021. 09. 30
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データ月報

調査結果のポイント

市内主要ホテルの客室稼働率は緊急事態宣言の影響でやや下落

26.8%

3.4pts

京都市内主要ホテル100施設における2021年8月の客室稼働率は26.8%となり、前年同月の23.4%からは3.4ポイント増となったものの、コロナ禍前(前々年同月)の83.3%からは56.5ポイント減となった。国内他都市と比べても低い水準が続いている。

日本人延べ宿泊数は、ワクチンの普及や「自粛疲れ」の影響で前年同月を上回るも、コロナ禍前を下回る水準

+30.4% 

日本人延べ宿泊数は、前年同月比30.4%増となった。8月は「まん延防止等重点措置」が適用(8/2~8/19)、4回目の緊急事態宣言(8/20~9/30)が発出されたものの、社会全体における感染症対策やワクチン接種が進んだ事や、昨年から続く「自粛疲れ」により、前年同月よりは宿泊客が増加したものとみられる。コロナ禍前との比較(前々年同月比)では20.6%減となった。
なお、コロナ禍以前から調査対象であった施設のみ(62施設)で比較すると、前年同月比は9.2%増、前々年同月比は43.3%減であり、コロナ禍前の水準を大幅に下回っている。

外国人延べ宿泊数はコロナ禍前比(前々年同月比)99.6%減、17ヶ月連続でほぼゼロの状態が続く

-99.6%

外国人延べ宿泊数は前年同月比67.8%増となったものの、コロナ禍前との比較では99.6%減となり、外国人宿泊客がほぼゼロの状態となって17カ月が経過した。

1部屋当たり宿泊客数、1人当たり宿泊日数は前年並みとなり、コロナ禍前を下回る水準が続く

1.57

0.01泊

1部屋当たり宿泊客数は1.58人(前年同月1.54人)、1人当たり宿泊日数は1.57泊(前年同月1.55泊)で前年並みとなり、いずれもコロナ禍前(前々年同月)を下回る水準が続いている。

平均客室単価、客室収益指数ともに前年同月より減少、ホテルの経営は引き続き厳しい状況

2,420

78.9%

平均客室単価は9,030円となり、前年同月の10,539円からは14.3%減となった。客室収益指数(平均客室単価に客室稼働率を乗じた指標で、1室あたりの売上高に相当する)は2,420円となり、前年同月の2,466円からは微減、コロナ禍前(前々年同月)の11,465円と比較すると78.9%減となり、ホテルの経営は厳しい状況が続いている。

緊急事態宣言などの影響を受けやすい修学旅行が中止になった事で、市内旅館の客室稼働率は9.0%まで下落

9.0%

6.9pts

市内主要旅館における稼働率は9.0%となり、前年同月の15.9%から6.9ポイント減、前月(7月)の23.5%からは14.5ポイント減となった。7月は一時的に修学旅行の需要が回復していたが、8月に入り感染拡大や緊急事態宣言の影響を受けやすい修学旅行等の団体旅行がキャンセル・延期となったことが主な要因だと考えられる。

8月は5軒が全日休業し、部分休業した施設も含めると販売可能客室数は本来の66%程度

66

8月は調査対象施設32軒中5軒(15.6%)が全日休業(予約停止)した。本来販売可能であったと考えられる客室数(月間延べ約2.4万室)からすると、8月の販売可能客室数は66%程度だった。

宿泊施設の従業員のワクチン接種完了率は、一般の接種率を大きく上回っている

64.7 %

市内主要ホテル・旅館60軒からの回答によると、9月上旬時点の推計では、回答施設の従業員の64.7%がワクチン接種を完了していた。10月頭には業界における職域接種の2回目が予定されており、今後さらに接種完了率が上昇していくと考えられる。

行こう指数(京都観光訪問意向指数)は、緊急事態宣言の影響を受けて減少

67.5 

14.2pts

「行こう指数」の2021年8月の値は67.5となり、前年同月の81.4から14.2ポイント減となった。また、前月(7月)の85.0からは17.5ポイント減となった。感染拡大や緊急事態宣言の影響で各種イベントが延期・中止になる等、京都観光のインターネット上の情報量が減少したことも要因のひとつと考えられる。

宿泊施設数は減少し、客室数は増える傾向が続く

56,169

2.5%

2021年8月末時点の京都市内において営業許可を受けている宿泊施設数は3,710件となり、前月(7月)の3,732件からは22件減少した。推定客室数は56,169室となり、前年同月の推定客室数(54,825室)からは2.5%の増加となった。

日帰り客は前年同月を下回り、宿泊客の増減とは異なる傾向となった

54.4

7.4pts

スマートフォンの位置情報をもとに集計した市内主要地点39箇所における2021年8月の来街者数は、2019年の平均値を100とした場合54.4となり、前年同月の61.8からは7.4ポイント減、前々年同月の89.2からは34.8ポイント減となった。年代別に見ると、緊急事態宣言とお盆期間の天候不順の影響により全世代で前年同月から減少しているものの、若者層の減少幅は他の世代よりも小さかった。

市内4百貨店の総売上げは、5ヶ月ぶりに前年同月の売上を下回った

  

緊急事態宣言や天候不順の影響で、8月の市内4百貨店の総売上げは前年同月比9.2%減となり、今年3月以来、5ヶ月ぶりに前年同月の売上を下回った。免税売上額は、昨年8月は外国人の入国制限などで免税売上額が激減していたことで前年同月比209.2%増となった。

社会情勢

  

京都府内の病床使用率は危機的な状況からは脱しており、8月20日に発出された4回目の緊急事態宣言は9月30日をもって解除される見込みである。政府はワクチン接種証明や陰性証明を伴った行動制限緩和に向けて10月から実証実験を始める予定であることを発表した。結果次第で今後の感染対策や制限緩和策に反映されるという。また、京都府内では府民限定で利用できる「安心・安全な京の飲食店応援クーポン」が10月12日より利用開始予定となり、行政の下支えを受けながら秋の行楽シーズンに向けて需要の回復が期待される。なお、9月28日時点の京都市内でのワクチン2回目の接種率は51.4%、高齢者の接種率は85.9%となっている。
海外ではEUを中心に「ワクチンパスポート」やPCR陰性証明書等の提示を条件とした入国制限緩和が進みつつあり、訪日への関心も高まっている。アメリカでも11月よりワクチン接種を条件に外国人の入国を認めるなど、入国制限が緩和されつつある。引き続き今後の動向を注視したい。

緊急事態宣言の影響で予約が間際化しており客室稼働率の予測値は低調だが、11月には上向く兆候あり

  

8月時点での、9月10月の客室稼働率予測値(緊急事態宣言下の予約状況をもとにした予測)は10%前半で推移する見込みであるが、紅葉シーズンに突入する11月の客室稼働率予測値は22.7%まで回復する見込みである。ただし、今後の行動制限の緩和方針、国や自治体による消費喚起策の内容や時期次第では、直前に宿泊予約が殺到し、大幅に数値が上向く可能性もある。

宿泊予約サイトにおける販売価格も11月は前年を上回る水準で推移する

  

京都市内宿泊施設の客室販売価格は、緊急事態宣言が解除される予定の10月から紅葉シーズンにかけて、ほぼ全ての宿泊日で前年同月の販売価格よりもやや高くなっている。ワクチン接種が進んだ秋以降の需要回復を見越した価格設定がなされていると考えられる。

参考)新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等の期間
出展:京都市HP、東京都HP、GoToトラベルHP等を参考に京都市観光協会で作成

調査概要

全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義しています。

※過去の調査結果はこちらからご覧ください。

調査対象

 

2021年8月時点 ホテル 旅館
施設数 客室数 施設数 客室数
調査対象 100 17,771 32 769
市内全体 319 34,828 367 5,311
カバー率 31.3% 51.0% 8.7% 14.5%
  • 平成30年の旅館業法改正にともないホテル・旅館の区分が廃止されたため、市内全体におけるホテルの施設数および客室数は、区分が廃止される直前までの旅館の数値に変動が無いものと仮定して算出している。
  • 前年と本年では対象施設数が異なる場合があるため、今回発表する前年の数値は昨年の発表値と異なる。
  • P18の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記ホテル100施設とは対象が一部異なる。

分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有する施設にて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2021 年8月1 日~8月31日)中、対象施設が臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有する施設が、以下のように営業をしていた場合

➀ 8月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 8月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 8月21日~31日の期間(11日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 全日休業
(31日間)
20日以上
31日未満
10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
ホテル施設数 3

(3.0%)

0

(0.0%)

1

(1.0%)

1

(1.0%)

95

(95.0%)

旅館施設数 5

(15.6%)

3

(9.4%)

4

(12.5%)

5

(15.6%)

15

(46.9%)

 

(参考)調査対象ホテルにおける2021年8月(8月1日~8月31日)の臨時休業状況

その他

京都市観光協会データ月報は、調査対象施設のみなさまのご協力、ならびに京都市観光協会会員および京都文化交流コンベンションビューロー賛助会員からの会費をもとに運営しております。

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。ただし、P18のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。

各種数値は、データ提供元である宿泊施設等からの訂正等により、後日予告なく修正される場合があります。原則として、後から発表される数値を正しいものとして利用いただくようお願いいたします。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなります。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

調査レポートの詳細な分析結果(PDF)のダウンロード、また各種データを自由に加工・分析していただける
分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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参考 京都市における観光調査関係の資料一覧

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