京都市観光協会データ月報(2020年5月)

UPDATE :
2020. 06. 30
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データ月報

調査結果のポイント

外国人延べ宿泊客数は4月を超える減少幅を記録し、全ての国・地域でほぼゼロに

-99.9%

京都市内55ホテルにおける2020年5月の外国人延べ宿泊客数は、前年同月比99.9%減の183人泊にまで落ち込み、全ての国・地域でほぼゼロとなった。新型コロナウイルス感染症の全世界的な流行によって、帰国出来ずに長期滞在していた外国人客が、各国政府が準備した臨時便等を活用して出国したことで、前月(1,054人泊)よりも更に、京都での滞在が減少したと考えられる。
多くの国が国外渡航制限や外出禁止等の措置を継続し、日本でも各国の査証無効化を続けていることから、外国人客の入国は全国的にほとんどない状態が続いている。JNTOの調査によると、5月の訪日外客数は前年同月比99.9%減の1,700人となり、1964年の統計開始以来最大の減少率を3ヶ月連続で更新するとともに、単月の訪日外客数としても最少値を更新した。

日本人延べ宿泊客数も大幅減となり、総延べ宿泊客数も過去最小に

-94.7%

日本人延べ宿泊客数は、10連休となったゴールデンウィークの特需で賑わった前年同月を94.7%下回った。国内・海外の市場が共に縮小を続ける中で、日本人と外国人を合わせた総延べ宿泊客数も、同97.3%減の15,780人泊と過去最少を更新し、伸率も4ヶ月連続で最低値を更新した。
新型コロナウイルス感染症の拡大は徐々に収まりつつあり、5月21日には京都府において、5月25日には全国的に緊急事態宣言が解除された。京都市内でも多くの観光施設や社寺で営業や拝観が再開されたが、都道府県を跨いだ移動自粛は継続して求められたことで、宿泊需要の回復は6月以降に持ち越しとなった。

客室稼働率は6ヶ月ぶりに微増したものの、依然として極めて低い水準

6.5%

0.7pts

客室稼働率は、前年同月を76.6ポイント下回る6.5%※となった。宿泊需要が大幅に減衰する一方で、臨時休業するホテルが増加し、販売可能客室数が前年同月比55.3%減にまで調整された結果、客室稼働率は前月2020年4月(5.8%)をわずかに上回り、2019年11月以来、6ヶ月ぶりに稼働率が前月を超える結果となった。

外国人比率は4ヶ月連続で最低値を更新

1.2%pts

48.0

外国人比率は前年同月より48.0ポイント低い1.2%となり、4ヶ月連続で単月としての最低値を更新した。京都市内から外国人観光客がほとんど消えてしまうという事態が2ヶ月に渡って続いている。

客室収益指数(RevPAR)は引き続き大幅減。国内主要都市も減収する一方、海外では回復を見せる都市も

-94.9%

京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRの調査結果によると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比で89.6%低下するとともに、平均客室単価(ADR)も同50.3%低下したことで、客室収益指数(RevPAR)は同94.9%減と大幅に下落する結果となった。
他の国内主要都市においても同様の傾向となっており、RevPARは前年同月比で90%程度減少している。同様の傾向が世界の主要都市でも見られる一方、シンガポールではOCCが同8.9%減にまで戻ってきているなど、国・地域によっては、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑え、徐々に宿泊需要が回復する兆しが見えている。

百貨店の臨時休業などを背景に免税売上額は4月を超える減少幅を記録

-98.5%

0.4pts

新型コロナウイルスの影響に伴う百貨店の臨時休業および外国人客の激減を背景に、5月の免税件数は前年同月比99.7%減の90件となり、2019年1月の調査開始以来、初めて100件を下回った。これに伴い免税売上額についても同98.5%減と、前月を超える過去最大の落ち込みを記録した。

国内観光客は、6月以降活動再開の兆し

6月19日には、全国的に、都道府県を跨ぐ移動や旅行も解禁され、8月以降には国が主導する大規模な観光振興キャンペーンも予定されている。これを受けて、宿泊予約サイトにおける客室販売価格(P14)は、5月以降上昇が続いており、夏休み以降の需要に対する期待感が現れている。また、内閣府がとりまとめるビッグデータにもとづく人流・滞在状況(P15)でも、京都においては徐々に人出が増加している。新幹線は7月にはほぼ平常運行となり、航空路線も運航再開が始まるため(P17)、段階的に人の動きが回復していくことが見込まれる。

インバウンド需要は見通しが立たない状況が続く

海外においては、感染拡大が続く地域が多い一方で、欧州では6月15日以降、域内の移動制限が緩和されるなど、徐々に経済活動が回復する兆候がある。日本政府も、まずはビジネス目的での往来に限定されてはいるものの、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4ヶ国から渡航規制を緩和し、順次対象となる国・地域を拡大する考えを示している。
新型コロナウイルスの感染拡大は楽観を許さない情勢であり、インバウンド需要についても見通しが立たない状況が続くものの、関西圏などの比較的に近い範囲から、国内の宿泊需要が拡大することを期待したい。

調査概要

(1) 全体概要

京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。

なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。

※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載

(2) 対象ホテル

  • 55ホテル 11,823室(2020年5月現在)
    ※2020年3月号では59ホテルを対象としていたが、今月は休業中等の理由で回答が難しい施設もあり、回答のあった55ホテルを対象として分析を実施している。
    ※京都市内ホテルの客室数ベースで約4割をカバー(京都市観光協会調べ)
    ※調査結果における前年実績は、今回の調査に合わせて調査対象施設から新たに提供を受けた数値である。
    したがって、前年と本年では対象ホテル数・客室数が異なるため、今回発表の前年数値(2019年5月)は昨年の発表数値とは必ずしも一致しない。※P11の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記55ホテルとは対象が一部異なる。

(3) 分析数値

  • 「販売可能客室数」・・・日々販売されている客室数の月間累積値を示す。
    例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合
    販売可能客室数:80室×30日=2,400室
  • 「客室稼働率」・・・「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合
  • 「外国人比率」・・・「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合
  • 「構成比」・・・「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合
  • 「伸率」・・・「前年の各国・地域の延べ人数」に対する「本年の各国・地域の延べ人数」の伸率

(4) 新型コロナウイルス感染症の拡大等に伴う臨時的な休業の扱いについて

調査対象期間(2020 年5 月1 日~5 月31 日)中、対象ホテルが臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有するホテルが、以下のように営業をしていた場合

➀ 5月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 5月11日~20日期間(10日)は客室数を50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 5月21日~31日の期間(11日)は休業

販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率   :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%

臨時休業日数 全日休業
(31日間)
20日以上 10日以上~
20日未満
10日未満 休業なし
施設数 31

(56.4%)

0

(0.0%)

1

(1.8%)

1

(1.8%)

22

(40.0%)

(参考)55ホテルにおける2020年5月(5月1日~5月31日)の臨時休業状況

(5) その他

本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。

ただし、P11のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。

京都観光総合調査との関連について

京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。

調査レポートのダウンロード/分析ダッシュボード

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分析ダッシュボードについては、以下からそれぞれお申込みください。

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