(1) 全体概要
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載。
-89.5%
新型コロナウイルス感染症の拡大影響により、京都59ホテルにおける2020年3月の外国人延べ宿泊客数は、前年同月比89.5%減と、2014年4月の調査開始以来最大となる落ち込みを記録した。例年3月の京都は桜を目当てにした観光客で賑わうが、本年は前年同月の1割程度にまで激減し、京都の観光産業に多大な影響が及んでいる。
JNTOの調査によると、日本全体の訪日外客数は、昨年同月比93.0%減の193,700人となり、1964年の統計開始以降最大の減少率を記録している。月間の訪日外客数が20万人を切るのは、1989年2月以来31年振りの記録である。東日本大震災直後の2011年4月ですら訪日外客数は約30万人であったことから、日本全体の観光産業は当時を上回る壊滅的な状況に直面していると言える。
-98.0%
121.7pt
京都 59 ホテルにおいては、全ての国・地域で宿泊需要が減退した。とりわけ、新型コロナウイルス感染症が早期に拡大した東アジアでは、中国(前年同月比 98.4%減)、台湾(同 98.7%減)、韓国(同 97.4% 減)、香港(同 94.8%減)等の国・地域にて、未だかつてない伸率の減少が記録された。 (東アジア全体の伸び率は同98.0%減で、前年同月の23.7%増から121.7ポイントの減少)
-45.5%
日本人延べ宿泊客数は、2020年2月の段階では前年同月比4.7%減と、新型コロナウイルス感染症の影響が限定的であったが、今月は前年同月比45.5%減と調査開始以来最大の下げ幅を記録した(これまでで、最も減少幅が大きかったのは、熊本地震があった2016年4月の14.7%減)。ただし、3月中旬までは市内の観光施設やイベントも一部営業・開催を続けており、日本への入国が絶たれつつあった外国人客とは違って日本人は国内旅行が可能な状況にあったため、延べ宿泊客数の減少幅は5割程度にとどまったとも言える。
-66.3%
日本人・外国人を合わせた総延べ宿泊客数は、前年同月比66.3%減となり、台風の影響で関西空港が閉鎖された2018年9月の同5.9%減や、新型コロナウイルス感染症の影響が本格化した前月(2020年2月)の同27.3%減を大幅に下回る、調査開始以来最大の減少幅を記録した。
30.3%
58.5pts
客室稼働率は、前年同月を58.5ポイント下回る30.3%となった。前月の54.3%を20ポイント超下回り、2ヶ月連続で調査開始以来の最低値を更新する結果となった。桜の開花が始まる3月は、京都観光において1年の中でも屈指の繁忙月であるにも関わらず、客室稼働率30%台という過去に例を見ない深刻な事態が生じている。
14.8%
31.5pts
京都全体の宿泊需要が未だかつてない減退を見せる中で、外国人比率も大きな変化を見せている。3月時点では国内よりも海外において新型コロナウィルス感染症の影響が大きかったため、外国人比率は前年同月を31.5ポイント下回る14.8%となった。外国人比率が20%を下回るのは調査開始以来初めてのことであり、ここ数年間の市場環境からの激変は、観光業界に甚大な被害をもたらしている。
-77.3%
京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRの調査結果によると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比で64.6%低下するとともに平均客室単価(ADR)が同35.9%低下したことで、客室収益指数(RevPAR)は同77.3%減と大幅に低下する結果となった。
他の国内主要都市の客室収益指数(RevPAR)も同様の減収傾向が確認されており、大阪が80.7%減、東京が78.8%減など、軒並み70%~80%前後の低下を示している。昨月までは影響が限定的であった欧米諸国でも、ニューヨークが66.8%減、パリが72.6%減と甚大な影響が出ており、全世界の観光産業が、新型コロナウイルス感染症の拡大により壊滅的な打撃を受けている。
そのような状況の中、パリでは客室稼働率(OCC)が73.8%減と大幅に低下する一方、平均客室単価(ADR)は4.8%増と増加に転じており、客室在庫の販売管理を行うレベニューマネジメントの視点において、注目に値するといえよう。
-96.2%
新型コロナウイルスの流行に伴う、外国人客の激減を背景に、3月の免税件数は前年同月と比較して96.7%減少し、これに伴い免税売上額についても同96.2%減と大きく減少した。
4月に入り、京都における宿泊需要は一層厳しい局面を迎えている。4月7日に東京都や大阪府、兵庫県を含む7都道府県で緊急事態宣言が発出され、4月16日には京都府を含む全国にまで対象が拡げられた。GW期間を含む5月6日までは、帰省や旅行なども含む不要不急の移動を厳しく自粛することが全国民に求められており、市内においても多くの観光施設や社寺、そして宿泊施設が、中長期にわたる休業を発表している。
海外においても、新型コロナウイルス感染症は拡大を続けており、現地からの出国禁止や日本への入国禁止等を背景に、航空路線も大幅に減便・運休し、インバウンド市場全体が事実上閉ざされる状況が続いている。
インバウンド観光の回復の兆しも見えない中、3月の段階では僅かに残っていた日本人客の宿泊需要も、4月においてはほぼ消失し、3月を超える極めて深刻な事態が待ち受けていると予想される。
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載。
本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。
ただし、P10のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。
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