今月から対象ホテル数が58ホテルから1施設増加し、59ホテルになりました。
-53.8%
新型コロナウイルスの影響により、京都59ホテルにおける2020年2月の外国人延べ宿泊客数は、前年同月比53.8%減と約半減し、調査開始以来最も減少幅が大きかった2018年1月の6.5%減(春節期間変動が主な要因)を大きく下回る記録的な下げ幅となった。好調なインバウンド需要が大きく減速し、京都観光に大きな影響を与えることとなった。
とりわけ大きく減少したのが中国で、同76.7%減と約8割減となった。春節休暇が2019年は2月(2月4日~10日)であったのに対し、2020年は1月(1月24日~30日)になったため、本年2月は前年同月比の数値はもともと減少含みであったことに加え、中国における新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、
1月27日以降、同国からの団体外国旅行が停止され、それに合わせ個人旅行も減少するとともに、日中間の航空路線減便・運休がそれに拍車をかけたといえよう。その他のアジア市場においても、感染拡大による旅行需要の低下に伴い、韓国が同77.7%減、香港が同60.7%減、台湾が同56.9%減と、大きく減少することとなった。
欧米豪に目を転じると、ドイツが前年同月比25.8%増、フランスが同15.7%増、オーストラリアが同10.7%増と増加を示した市場もあるが、その増加幅は直近の傾向と比較すると抑えめで、イタリアは同37.4%減、スペインが同30.6%減となるなど、減少した国もあった。2月段階では、欧米豪現地での感染拡大は大きな問題とはなっておらず、発地側よりも着地側の問題として、アジア旅行を回避する傾向が影響したものと考えられる。
こうした中、外国人延べ宿泊客数に占める国・地域別構成比では、中国が21.7%と前年同月の43.1%から21.4ポイント低下したものの、33ヶ月連続となる1位を堅持した。構成比2位は台湾(14.3%)、3位はアメリカ(13.3%)と、順位に変動は見られなかったが、4位に新型コロナウイルスの影響が限定的であったオーストラリア(10.0%)が入った。
-4.7%
日本人延べ宿泊客数は、前年同月比4.7%減と微減にとどまった。2月段階においては、国内においては、旅行需要が大きく低下する状況ではなく、16日に京都マラソンが開催されるなど、中旬までは通常に観光できる状態であったといえる。2月下旬に入り、混雑する場所を回避する観点から、京都観光を避けるという動きも一部生じたが、外国人観光客が減少した観光地や例年よりも低価格な宿泊施設等がSNS等で紹介されるなど、新たな宿泊需要も生じたことで、外国人客に比べ大きく減少する結果とはならなかった。
54.3%
24.2pts
日本人・外国人を合わせた総延べ宿泊客数は、前年同月比27.3%減となり、台風の影響で関西空港が閉鎖された2018年9月以来、17か月ぶりに前年同月を下回るとともに、調査開始以来、最も大きな減少幅を示した。
客室稼働率も、前年同月を24.2ポイント下回る54.3%となり、これまで最も低かった2015年1月の65.7%を10ポイント以上下回った。京都観光にとって1月、2月はオフシーズンとはいえ、客室稼働率50%台という数値はこれまでにないものであり、事態の深刻さを表している。
また、外国人比率も大きな変化を見せた。2月段階では国内市場よりも海外市場において新型コロナウィルスの影響が大きかったため、前年同月を16.8ポイント下回る29.2%となった。外国人比率が30%を下回るのは、2015年11月以来4年4ヶ月ぶりである。2015年といえば、インバウンドが大きく伸長しはじめた時期で、外国人客の存在感がそのレベルに戻った状態といえる。
-39.7%
京都市観光協会が提携するホテルデータサービス会社STRの調査結果によると、京都市内における客室稼働率(OCC)は前年同月比で31.3%低下するとともに平均客室単価(ADR)が同12.3%低下したことで、客室収益指数(RevPAR)は同39.7%減と大幅に低下する結果となった。
同様の減収傾向は国内主要都市でも確認されており、大阪が44.2%減、東京が33.7%減など、軒並み30%~40%前後の客室収益指数(RevPAR)低下を示している。海外においても、香港が86.0%減、シンガポールが49.8%減と、同じく大きな影響が出ているが、パリは3.7%増、ニューヨークは2.1%減と、この段階では、欧米において大きな影響を確認することはできない。
なお、シンガポールについては、客室稼働率(OCC)が46.9%減と大幅に低下する一方、平均客室単価(ADR)は5.3%減と微減に留まっており、客室在庫の販売管理を行うレベニューマネジメントの視点において、注目に値するといえよう。
-78.0%
新型コロナウイルスの流行に伴う、中国等の外国人客の減少を背景に、2月の免税件数は前年同月と比較して75.4%減少し、これに伴い免税売上額についても同78.0%減と大きく減少した。
3月に入ると、京都観光の局面はさらに厳しい状態となる。2月27日、安倍首相による小中高の一斉休校要請を機に、大手テーマパークの休園、出張の自粛などが生じ、国内の旅行マインドは一変した。京都観光においても、博物館や観光施設等が休館し、京都・東山花灯路(3月6日~15日)をはじめとするイベントも中止になったところである。
また、海外においても、欧米豪に新型コロナウイルスの感染が拡大し、現地からの出国禁止や日本への入国禁止などにより、訪日旅行全体が事実上閉ざされるという、誰しも想像することができなかった事態に陥っている。航空路線も大幅に減便・運休しており、加えて3月24日には、東京オリンピック・パラリンピックの延期が発表されるなど、先行き不透明な状態は当分の間続くと思われる。京都観光のみならず、世界の観光産業全体が、これまでに経験したことがない大きな試練を迎えていると言わざるをえない。
※参照:諸外国から日本への入国規制等の状況
今月から対象ホテル数が58ホテルから1施設増加し、59ホテルになりました。
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
※過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載。
本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ月報」を明示してください。
ただし、P10のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。
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