概要
外国人宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
*過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載
+10.7%
京都58ホテルにおける2019年の延べ宿泊客数は、前年比10.7%増と、2014年の調査開始以来最大となる伸率を記録した。日本全国では同1.0%増と微増にとどまっており、京都は宿泊需要が引き続き高まっているといえる。
外国人客数は、好調なインバウンド需要を背景に同19.3%増加し、ラグビーワールドカップ日本大会(9月20日~11月2日)も追い風となり、直近4年間では最も高い伸率となった。
日本人客数は、人口減少に伴いマーケット自体が縮小傾向にある中、調査開始以来、初めて前年を上回り同3.0%増加した。東日本を中心に甚大な被害をもたらした「台風19号」の影響等もあり10月以降は減少傾向にあったものの、10連休となったゴールデンウィーク需要や前年の西日本豪雨による減少の反動も影響していると考えられる。
日本全国では日本人延べ宿泊客数が同0.4%減少した中、京都58ホテルで増加した背景には、宿泊施設の新規開業に伴う客室増により、泊まりやすい環境が整ってきたことが挙げられよう。多様な魅力を有する宿泊施設の新設や既存施設のリニューアル、さらには施設間競争によるサービス向上等により、宿泊施設の魅力が更に高まり、多様かつ安定した客室供給が新たな宿泊需要を生み出しているとも言えるだろう。
82.3%
3.1 pts
宿泊客数の増加に伴い、稼働客室数が前年比11.8%増加した一方、宿泊施設の増加に伴う販売可能客室数が、それを上回る増加(同16.0%増)を示したことにより、客室稼働率は前年より3.1ポイント低下の82.3%となり、調査開始以来最も低い数値となった。しかしながら、客室稼働率の前年同月差に注目すると、5月に単月で最も大きな下げ幅となる7.0ポイント減(2018年90.9%⇒2019年83.9%)を示した後は、徐々にその差は縮まり、10月~12月の3ヶ月においては平均2.1ポイント減にまで縮小している。客室の需給バランスが徐々に調整され、客室稼働率の下落に歯止めがかかる兆候が現れていると考えられる。
46.9%
3.4 pts
日本人客数の伸び以上に、外国人客数が伸びたことから、外国人比率は前年を3.4ポイント上回る46.9%となり、調査開始以来の最高値を更新した。月別でも、7月を除く全ての月で過去最高値となり、とりわけ桜シーズンの4月は、単月として過去最高値となる56.3%を記録した。また、同比率が過半数となった月も、1年で3回(4月、7月、10月)と、前年度の2回(4月、7月)から増加するなど、外国人客の存在感が着実に増した1年であったといえる。
+44.4%
外国人延べ人数を国・地域別でみると、中国が前年比38.5%増と大きく伸長した。構成比においても、すべての月で1位を堅持し、年間でも30.8%と、調査開始以来、単一市場で初めて3割を超え、人口約14億人の巨大マーケットを背景にそのシェアは年々大きくなっている。
構成比2位のアメリカ(14.4%)も、延べ人数前年比18.0%増と堅調なる伸びを示した。
3位の台湾は前年比0.6%減少し、構成比は1.7ポイント減の8.1%となった。2014年には19.2%と国・地域別1位であったことを考えると、その存在感は、年々縮小傾向にある。また、香港も同2.1%減少し、構成比では前年の6位(3.7%)から10位(3.0%)に転じた。
これら2地域は、訪日市場の成熟及びLCCの地方就航に伴う地方周遊が進んでいることなどから、京都58ホテルへの宿泊が減少していると考えられるが、その減少幅は前年(台湾12.3%減、香港10.5%減)よりは緩和しており、今後は安定していく可能性がうかがえる。
韓国は、8月頃から生じた日韓情勢の悪化等により、調査開始以来初めて減少し(前年比17.2%減)、構成比も5位(4.5%)から6位(3.1%)に順位を一つ落としたが、一方で、日本全体では前年比25.9%減少し、順位こそ2位で変動ないものの構成比で24.2%から17.5%に6.7ポイント下落しており、日本全体と比較すると、京都58ホテルにおける影響は限定的といえる。
2019年は、ラグビーワールドカップ出場国の伸長が際立った。延べ人数の伸率では、前年比44.4%増と主要市場で最も伸びたイギリスを筆頭に、オーストラリアが同17.1%増、フランスが同15.2%増となり、出場国以外でも、ドイツが20.1%増、イタリアが同12.6%増、スペインが同11.9%増と、その他欧州諸国でも二桁成長を記録しており、欧米豪市場が大きく拡大した1年だったといえる。
-9.6%
京都市観光協会が提携するSTRの調査結果では、客室収益指数(RevPAR)における京都の伸率は9.6%減となった。新規ホテルの開業等による客室数の供給増を背景に、客室稼働率(OCC)が低下(前年比5.2%減)し、その結果、一部の宿泊施設にて価格競争が生じて、平均客室単価(ADR)も減少(前年比4.6%減)したことが原因と考察できる。
一方、国内主要都市と比べると、京都の客室稼働率(OCC)は比較的低いにも関わらず、平均客室単価(ADR)は東京に次ぐ水準となっている。これは、低稼働で高単価を実現することで、結果として高い客室収益指数(RevPAR)を実現しているパリ等の都市に見られる理想的な構造に近いといえる。今後、更なるADR・RevPARの成長が実現できるよう、改装等のハード整備やサービスの向上などにより、各施設において差別化が進み、宿泊の魅力が更に高まることを期待するとともに、それに応える宿泊需要の創出に努めていきたい。
外国人宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査(「実人数」「延べ人数」「延べ部屋数」)を毎月実施。※全国で唯一の取組(京都市観光協会調べ)。
なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
*過去の調査結果は当協会ウェブサイトに掲載
本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ年報(2019)」を明示してください。
ただし、P17のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:加藤)までお問合せください。
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。
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