京都観光事業者調査および京都観光従事者調査(2023年)の結果について

UPDATE :
2024. 03. 14

「京都観光事業者調査および京都観光従事者調査(2023年)」の冊子は、こちらよりダウンロードください。

 

このたび、京都市観光協会(DMO KYOTO)は、京都観光に関わる事業者および従事者の皆様を対象にした調査を行いましたので、その結果を発表します。この結果は、当協会の事業に活かすとともに、令和3年3月に策定された「京都観光振興計画2025」における指標の一部としても活用されます。
この調査は、2021(令和3)年度から開始しており、今回で3回目となります。ただし、前回調査とは調査手法が一部異なるため、年別の比較を行う際にはご注意ください。今後も継続して調査を行うことで、働きたくなる業界づくりのために必要な対策や支援についての検討材料とするとともに、「京都観光振興計画2025」に基づいた施策の進捗と成果の把握を行ってまいります。

京都観光事業者実態調査(2023年)

調査目的 本調査は、京都市域における観光関連事業者の経営状況や、京都観光モラルに関する取組への意識を把握し、働きたくなる業界づくりのために必要な対策や支援について検討するための基礎資料とすることを目的として実施した。
調査時期 2023(令和5)年12月 ~ 2024(令和6)年2月
調査対象 京都観光に関する事業を営む事業者
調査方法 WEBフォームによるアンケート
標本数 200社
主な調査項目 業種、従業員数、人件費、観光客からの売上が占める割合、売上高の増減、主力商品の売価と原価の変化、京都観光モラルに関する取組状況、今後の事業方針、経営課題

調査結果の主なポイント

売上動向、景況感(本冊4ページ)

観光売上が前年から増加した事業者は64.0%を占め、前回調査を1.5ポイント上回った

  • 観光売上(観光客から得られる売上)が前年から増加したと回答した事業者の割合は64.0%を占め、前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の結果62.5%を1.5ポイント上回った。
  • 観光売上の2022年から2023年にかけての増減率の平均値は77.1%増であった。前回調査(2021年から2022年にかけての増減率)の59.7%増を17.4ポイント上回った。
  • 景況感について「とても楽観視している」「楽観視している」と回答した事業者の割合は24.5%となり、前回調査時の15.2%を9.3ポイント上回った。

主力商品・サービスの販売動向、経営課題、事業方針(本冊5,6ページ)

原価が上がった事業者は80.1%を占め、最も多く挙げられた経営課題は「原材(燃)料高」となった

  • 2022年から2023年にかけて主要商品・サービスの売価を上げた事業者は70.5%に上り、
    前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の回答率59.1%を11.3ポイント上回った。
  • 2022年から2023年にかけて主要商品・サービスの原価が上がった事業者は80.1%に上り、
    前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の回答率78.8%から1.3ポイント上回った。
  • 前回調査に引き続き、最も多く挙げられた経営課題は「原材(燃)料高」であったが、回答率は61.5%と、前回の68.0%を6.5ポイント下回った。次に多かった課題として「採用難(59.0%)」「人件費負担増大(48.0%)」が続き、いずれも前回調査より回答率が高まった。一方で、「受注・売上不振(23.0%)」「資金調達(11.0%)」の回答率は前回調査から10ポイント超下回った。

雇用と人件費、働きやすさ向上に関する取組(本冊6,7ページ)

増員や昇給で人手不足に対応する事業者が増えたが、働きやすさ向上への取組意欲は停滞した

  • 2022年から2023年にかけて従業員数を増やしたと回答した事業者は37.0%に上り、前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の回答率12.8%を24.2ポイント上回った。また、2022年から2023年にかけての従業員数の平均増減率は22.2%増となり、前回調査の平均増減率▼7.3%を大きく上回った。
  • 人件費総額の平均増減率は19.9%増となり、前回調査時の4.7%を15.2ポイント上回った。これらの結果をもとに換算した一人当たり人件費が増加した事業者の割合は64.2%に上り、前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の40.6%を23.6ポイント上回った。また、一人当たり人件費の平均増減率は 10.3%増となり、前回調査時の10.7%増とほぼ横ばいとなった。
  • 従業員の働きやすさ向上に関して最も取組意欲が強かった項目(5段階評価で比較)は、前回調査に引き続いて「職場の人間関係や信頼関係(風土や規律、雰囲気等)構築」であったが、その他の項目も含め、取組意欲は前回調査からほぼ横ばいとなった。

京都観光モラルに関する取組(本冊8,9ページ)

多くの項目で取組意欲の底上げが進んだが、積極的に取り組んでいる事業者は減少傾向

  • 京都観光モラルとして掲げる「地域との調和」「質の高いサービス」「景観・環境」「防災・危機管理」の各分野に関する取組状況を聞いたところ(5段階評価で比較)、前回調査と比較可能な26項目のうち18項目において改善が見られた。
  • 前述の各分野において、少なくとも一つ以上の項目において「積極的に取り組んでいる」事業者の割合を集計したところ、「防災・危機管理」を除く3分野において前回調査から2~5ポイント程度下回った。
  • 少なくとも一つ以上の項目において「積極的に取り組んでいる」及び「取り組んでいる」事業者の割合は、いずれの分野においても7割を超える結果となっている。

※ 「積極的に取り組んでいる(5点)」、「取り組んでいる(4点)」、「可能な範囲で取り組んでいる(3点)」、「意欲はあるが取り組めていない(2点)」、「取り組んでおらず、意欲もない(1点)」

京都観光従事者実態調査(2023年)

調査目的 本調査は、京都市域における観光関連業界の従事者の就労状況や、京都観光モラルに関する取組への意識を把握し、働きたくなる業界づくりのために必要な対策や支援について検討するための基礎資料とすることを目的として実施した。
調査時期 2023(令和5)年12月 ~ 2024(令和6)年2月
調査対象 京都観光に関する事業に従事する者
調査方法 WEBフォームによるアンケート
標本数 663名
主な調査項目 居住地、雇用形態、役職、勤務年数、週あたり勤務時間、京都観光モラルの取組状況、仕事のやりがい、収入の変化

調査結果の主なポイント

収入の変化(本冊13ページ)

収入が前年から増加した従事者の割合は46.8%を占めた

  • 収入が前年から増加したと回答した人の割合は46.8%となり、前回調査(2021年から2022年にかけての変化)の結果32.0%から14.8ポイント上回った。

労働環境に対する評価(本冊14ページ)

「職場環境」「職場の人間関係や信頼関係」は、重要度・満足度ともに高いが、「待遇」への満足度が低い

  • 雇用環境に関する項目ごとの重要度と満足度について7段階評価で聞いたところ、「職場環境(立地、設備など)」「職場の人間関係や信頼関係」については、重要度、満足度ともに高く評価する回答者が多かった。一方で、「待遇(給与・賞与など)」については、重要度が高いにも関わらず、満足度が相対的に低い結果となった。
  • 仕事の総合満足度に関する設問では、66.5%の従事者が現在の仕事に満足していると回答し、前回調査から微増する結果となった。

就労継続意向、仕事へのやりがい(本冊15,16ページ)

就労継続意向は横ばいとなったが、仕事に対するやりがいや推薦意向は改善

  • 「現在の会社で働き続けたいか」という問いに対して肯定的な回答した人の割合は69.7%を占め、前回調査の62.9%を6.7ポイント上回った。また、「現在の業界で働き続けたいか」について肯定的に回答した人は65.8%、「京都市で働き続けたいと思うか」について肯定的に回答した人は70.6%と、いずれも前回調査から横ばいとなった。仕事に対するやりがいへの評価は11段階評価で平均7.47点となり、前回調査から微増となったが、仕事や勤務先の推薦度については5.86点となり、前回調査から微増する結果となった。

京都観光モラルに関する取組状況(本冊17,18ページ)

全体的に取組意欲が微減する結果となった

  • 京都観光モラルとして掲げる「地域との調和」「質の高いサービス」「景観・環境」「防災・危機管理」の各分野に関する取組状況を聞いたところ(5段階評価で比較)前回調査と比較可能な20項目のうち、17項目において5段階評価の平均値が前回調査から微減する結果となった。
  • 前述の各分野において、少なくとも一つ以上の項目において「積極的に取り組んでいる」従事者の割合を集計したところ、いずれの分野においても前回調査から1割前後の減少傾向が見られた。
  • 少なくとも一つ以上の項目において「積極的に取り組んでいる」及び「取り組んでいる」従事者の割合は、いずれの分野においても5割を超える結果となっている。

※ 「積極的に取り組んでいる(5点)」、「取り組んでいる(4点)」、「可能な範囲で取り組んでいる(3点)」、「意欲はあるが取り組めていない(2点)」、「取り組んでおらず、意欲もない(1点)」
※ 今回調査では、観光業界の通算勤続年数が1年の回答者が大幅に増加しているなど、前回調査と回答者の基本属性の傾向が異なる点にとりわけ留意が必要。

その他

注意事項

  • 一部、前回調査から設問項目等が変わっている箇所があるため、集計結果の解釈にはご注意下さい。
  • 本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会 京都観光事業者および京都観光従事者調査(2023年)」を明示してください。
  • 報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。
  • 各種指標には小数点以下の端数が発生しており、伸率・差の値は上記の整数値で計算した場合と必ずしも一致しない場合があります。

CONTACT

本件に関する問い合わせ先

公益社団法人京都市観光協会 マーケティング課

075-213-0070

marketing@kyokanko.or.jp

平田、福永、堀江

本レポートの関連事業