観光業界における人手不足についての臨時調査の結果について

UPDATE :
2023. 08. 10

2022年10月の入国制限緩和以降、外国人観光客の需要が回復しつつある一方で、観光業界では、この数年間で多くの人材が離職し、少子高齢化も相まった人手不足の影響で、観光客へのサービス水準や、労働環境の維持が難しくなることが懸念されています。そこで京都市観光協会は、京都市の観光関連事業者の皆様を対象に、臨時調査として人手不足の状況についてのアンケートおよびヒアリングを行いましたので、その結果をお知らせします。今回の調査結果をもとに、今後の対策の検討を進めて参ります。

調査結果の主なポイント

  • 回答事業者の7割が人手不足を感じており、とくに「接客」職の人手不足が顕著であった
  • 賃上げに取り組む事業者が多い一方で柔軟な働き方ができる環境を優先する事業者もあった
  • 個人事業主への外注や業務自動化を図るなどの工夫で人手不足を補う事例が見られた

観光業界における人手不足についてのアンケート

調査時期 2023年(令和5年)6月
調査対象 京都市内の観光関連事業者
調査方法 京都市観光協会の定時総会(6月14日開催)における調査票の配布および、京都市観光協会が配信するニュースレター購読者向けのWEBアンケート
標本数 152件(2023年7月25日現在)
主な調査項目 業種、従業員数、人手不足の職種、人手不足の要因、人手不足解消のための取組

京都観光事業者の経営動向に関するヒアリング

調査時期 2023年(令和5年)6月
調査対象 京都市内の観光関連事業者(経営者もしくは経営を把握している方)
調査方法 対面による聞き取り
標本数 13事業者(宿泊施設、飲食、交通、土産品、文化・観光施設など)
主な調査項目 今年の経営状況、人手不足への対応、働きやすさ向上の取組、生産性向上・デジタル化に向けた取組、リピーター対策について、京都観光モラルの取組、京都観光について

調査結果の主なポイント

回答事業者の7割が人手不足を感じており、とくに「接客」職の人手不足が顕著であった

コロナ禍前(2019年当時)からの従業員数の変動について尋ねたところ(問1)、従業員数がコロナ禍前比(2019年比)を下回ったと回答した事業者が占める割合は65.1%と、半数を超えた。特に、「宿泊」や「飲食」業界においては、コロナ禍前よりも従業員が2割以上減ったと回答した事業者が4割程度を占めており、他業種よりも多かった。

人手不足を感じているかどうかについて尋ねたところ(問5)、「とても感じる」または「感じる」と回答した事業者は71.3%であった。不足している職種や技能を尋ねたところ(問6)「接客」が46.0%で最も高く、次いで「営業・渉外」(34.0%)、「調理」(22.7%)であった。

人手が不足する要因について尋ねたところ(問7)、「就職希望者が少ない」と回答した事業者が70.0%、「離職者が多い」が42.7%であった。一部の事業者に対するヒアリングによると、2025年の大阪・関西万博の影響で大阪に人手が集中し、京都での人手不足がさらに深刻になるのではないかと予想する声もあった。

賃金水準の向上に取組む事業者が多い一方で、柔軟な働き方ができる環境を優先する事業者も

就職希望者が少ない要因について尋ねたところ(問8)、「賃金を上げる経営的な余裕がないから」と回答した事業者が占める割合が40.0%と最も多かった。離職者が多い要因について尋ねたところ(問9)、「長時間労働や、休日出勤、夜勤等」が30.7%と最も多かった。人手不足解消のためにすでに取り組んでいることについて尋ねたところ(問10)、「賃金水準の向上」と回答した事業者が52.0%と最も高かった。また、これから取り組みたいこと(問11)も、「賃金水準の向上」と回答した事業者が、32.7%と最も多かった。経営者側の視点では、人手不足を解消するうえで、賃金水準を改善することの優先度が高くなっていると考えられる。

一方で、ヒアリングによると、「賃金水準の向上」について取り組んでいるにも関わらず、就職希望者が集まらず苦労しているという声が多く聞かれた。他業界でも賃上げが相次いでおり、業界間での競争が激しくなっていると考えられる。

人手不足対策の事例

限られた労働力のなかで経営を維持するために、部署の垣根を越えた連携や、職員のマルチタスク化に取り組んでいると回答する事業者が複数みられた。また、多様な働き方ができるパートタイム労働の導入や、派遣社員の活用、クラウドソーシングサービスを活用した業務委託を効果的に組み合わせることで、労働力を確保している事例もあった。

ヒアリングによると、敢えて客室稼働率の目標値を制限し、客室単価の向上を目指していると回答する宿泊事業者があった。また、体験サービスを提供する事業者においても、1回の受け入れ人数を制限し、接客対応する従業員を減らしたことでサービスの質が向上し、客単価がコロナ禍前(2019年当時)の約4.5倍に上がったという事例があった。このように、受入れ客数を制限することで、従業員がサービス改善について考える余裕や、休暇を取得しやすい環境ができ、生産性の向上に繋がる場合があることが確認できた。

飲食店において、券売機の導入によって、接客サービスを手厚くすることができているだけでなく、会計業務でのミスや業務の引継ぎ時間が減り、従業員のストレスを減らすことにつながっている例もあった。飲食店に限らず、バックオフィス業務等のデジタル化を進めている例は多様な業種でみられた。

また、業界問わず若手社員の早期退職が多いとの意見があった。この対策として、若手社員中心のプロジェクトの立ち上げや、社員であれば誰でもアクセスが可能な情報共有システムの導入、研修制度の充実等を行っている例があった。一部の事業者では、若い人材を新たに獲得するために学生インターンシップの受け入れを行っている例もあった。

観光業界における人手不足についてのアンケート結果詳細

1.コロナ禍の影響による人員の変動※

2019年当時の職員数を100としたとき 従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
不明・回答なし 全体
回答者実数 34.2% 30.9% 33.6% 1.3% 100.0%

※2019年の従業員数を100としたとき、80未満の場合「従業員が大幅に減った」、
80以上100未満の場合「従業員がやや減った」、100以上の場合「従業員が減らなかった」として集計した。

2.従業員数(京都市内事業所のみ) 

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

従業員数 従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
20人未満 34.6% 14.9% 47.1% 32.7%
20人以上100人未満 44.2% 34.0% 35.3% 38.0%
100人以上 21.2% 51.1% 13.7% 28.0%
不明 0.0% 0.0% 2.0% 0.7%
100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

3.業種(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

業種 従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
宿泊 42.3% 21.3% 17.6% 27.3%
飲食 36.5% 29.8% 13.7% 26.7%
交通 9.6% 25.5% 3.9% 12.7%
小売 5.8% 10.6% 9.8% 8.7%
製造 11.5% 8.5% 17.6% 12.7%
文化芸能 5.8% 6.4% 3.9% 5.3%
社寺・文化財 0.0% 8.5% 7.8% 5.3%
集客施設 7.7% 6.4% 9.8% 8.0%
旅行会社 9.6% 6.4% 2.0% 6.0%
ガイド 0.0% 4.3% 0.0% 1.3%
出版・印刷・広告 5.8% 6.4% 5.9% 6.0%
ICT 0.0% 4.3% 5.9% 3.3%
金融 0.0% 0.0% 9.8% 3.3%
広告 3.8% 0.0% 2.0% 2.0%
公的団体 1.9% 4.3% 7.8% 4.7%
その他 1.9% 2.1% 3.9% 2.7%

4.現在、人手不足を感じていますか? 

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

現在、貴社において、
人手不足を感じていますか?
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
とても感じる 63.5% 34.0% 15.7% 38.0%
感じる 19.2% 55.3% 27.5% 33.3%
どちらともいえない 11.5% 8.5% 29.4% 16.7%
感じない 5.8% 0.0% 15.7% 7.3%
まったく感じない 0.0% 2.1% 9.8% 4.0%
不明・回答なし 0.0% 0.0% 2.0% 0.7%
100.0% 100.0% 100.0% 100.0%

5.業種別の集計(複数回答)

業種 とても感じる 感じる どちらともいえない 感じない まったく感じない
宿泊 51.2% 39.0% 4.9% 2.4% 2.4% 100.0%
飲食 39.0% 43.9% 12.2% 4.9% 0.0% 100.0%
交通 52.6% 42.1% 5.3% 0.0% 0.0% 100.0%
小売 21.4% 50.0% 14.3% 14.3% 0.0% 100.0%
製造 33.3% 33.3% 23.8% 9.5% 0.0% 100.0%
文化芸能 50.0% 37.5% 0.0% 12.5% 0.0% 100.0%
社寺・文化財 0.0% 50.0% 12.5% 25.0% 12.5% 100.0%
集客施設 25.0% 50.0% 8.3% 16.7% 0.0% 100.0%
旅行会社 77.8% 11.1% 11.1% 0.0% 0.0% 100.0%
ガイド 50.0% 50.0% 0.0% 0.0% 0.0% 100.0%
出版・印刷・広告 22.2% 44.4% 22.2% 0.0% 11.1% 100.0%
ICT 40.0% 20.0% 40.0% 0.0% 0.0% 100.0%
金融 0.0% 0.0% 60.0% 20.0% 20.0% 100.0%
広告 33.3% 33.3% 33.3% 0.0% 0.0% 100.0%
公的団体 0.0% 42.9% 42.9% 14.3% 0.0% 100.0%
その他 25.0% 0.0% 50.0% 0.0% 25.0% 100.0%

6.不足している職種や技能(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

不足している
職種や技能
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
事務 21.2% 23.4% 21.6% 22.0%
企画 9.6% 14.9% 17.6% 14.0%
広報 9.6% 10.6% 15.7% 12.0%
経理 7.7% 4.3% 5.9% 6.0%
労務 7.7% 8.5% 5.9% 7.3%
法務 3.8% 6.4% 2.0% 4.0%
営業・渉外 32.7% 42.6% 27.5% 34.0%
販売 15.4% 27.7% 9.8% 17.3%
接客 69.2% 53.2% 15.7% 46.0%
調理 38.5% 17.0% 11.8% 22.7%
運転 9.6% 17.0% 5.9% 10.7%
清掃 26.9% 12.8% 5.9% 15.3%
施工 3.8% 6.4% 0.0% 3.3%
通訳・翻訳 3.8% 4.3% 7.8% 5.3%
エンジニア 3.8% 8.5% 11.8% 8.0%
デザイン 1.9% 2.1% 3.9% 2.7%
管理職 5.8% 2.1% 9.8% 6.0%
その他 0.0% 6.4% 2.0% 2.7%

7.人手が不足する要因(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

人手が
不足する要因
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
就職希望者が少ない 75.0% 74.5% 60.8% 70.0%
離職者が多い 55.8% 59.6% 13.7% 42.7%

8.就職希望者が少ない要因(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

就職希望者が
少ない要因
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
業務内容の魅力が乏しいから 40.4% 17.0% 15.7% 24.7%
勤務時間などの制約があるから 46.2% 36.2% 19.6% 34.0%
求める能力が高いから 7.7% 14.9% 21.6% 14.7%
賃金を上げる経営的な余裕がないから 44.2% 48.9% 27.5% 40.0%
その他 1.9% 4.3% 2.0% 2.7%

9.離職者が多い要因(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

離職者が
多い要因
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
業務内容の魅力が乏しいから 17.3% 10.6% 3.9% 10.7%
長時間労働や、休日出勤、夜勤等 46.2% 34.0% 11.8% 30.7%
賃金を上げる経営的な余裕がないから 34.6% 36.2% 9.8% 26.7%
将来のキャリアパスを描けないから 36.5% 29.8% 13.7% 26.7%
職場の人間関係 30.8% 10.6% 3.9% 15.3%
その他 0.0% 8.5% 0.0% 2.7%

10.人手不足解消のために取り組んでいること(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

既に
取り組んでいること
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
賃金水準の向上 51.9% 66.0% 39.2% 52.0%
勤務条件の緩和(時短、在宅勤務など) 32.7% 44.7% 35.3% 37.3%
研修・福利厚生の充実 26.9% 42.6% 21.6% 30.0%
ICTの導入などの業務効率化 21.2% 25.5% 13.7% 20.0%
求人広告の強化 28.8% 25.5% 15.7% 23.3%
企業イメージの改善 19.2% 23.4% 13.7% 18.7%
外国人労働者の受入環境整備 23.1% 14.9% 17.6% 18.7%
インターンシップの受入 30.8% 29.8% 17.6% 26.0%
定年延長 15.4% 25.5% 9.8% 16.7%
その他 0.0% 4.3% 2.0% 2.0%

11.人手不足解消のためにこれから取り組みたいこと(複数回答)

表頭の項目は、問1の回答結果を意味する

これから
取り組みたいこと
従業員が
大幅に減った
従業員が
やや減った
従業員が
減らなかった
全体
賃金水準の向上 40.4% 34.0% 23.5% 32.7%
勤務条件の緩和(時短、在宅勤務など) 28.8% 12.8% 7.8% 16.7%
研修・福利厚生の充実 23.1% 19.1% 5.9% 16.0%
ICTの導入などの業務効率化 25.0% 23.4% 19.6% 22.7%
求人広告の強化 19.2% 19.1% 9.8% 16.0%
企業イメージの改善 26.9% 6.4% 15.7% 16.7%
外国人労働者の受入環境整備 30.8% 12.8% 15.7% 20.0%
インターンシップの受入 17.3% 12.8% 11.8% 14.0%
定年延長 15.4% 12.8% 9.8% 12.7%
その他 0.0% 2.1% 0.0% 0.7%

京都観光事業者の経営動向に関するヒアリングで把握できた主なコメント

コロナ禍の影響について

  • コロナ禍において大きく業績は落ち込んだ。2023年度も2019年度比でマイナスの見込みではあるが、回復しつつある。
  • お客様からは個室の要望や席の間隔を開けてほしいといった問合せは依然としてある。
  • 海外の方向けの料理には、お客様の好みに合わせた食材を使用しているため仕入れルート的に値上げ幅が大きいものもある。一部は上がった分を価格転嫁している。
  • コロナ禍が明けて、リアルでの買い物が戻ってきている分、通販の売上は落ち着いてきている。
  • 若者の旅行へのモチベーションは上がっているものの、70代などのご高齢の方のモチベーションは上がっていないと感じる。
  • 2022年10月から徐々に売り上げが伸び、2023年5月でコロナ禍前の売上を超えた。
  • 2023年4月頃からは、円安やリベンジ消費等を背景に、客単価が上がっている。一方で、国内の団体客需要はまだまだ戻り切っていない。

経営方針の変化について

  • コロナ禍をきっかけに助成金を活用して定員を30%削減し、その代わり客単価を上げた。
  • 越境ECサイトを開設した。
  • 地方店舗を閉業し、通信販売と量販店への出荷を強化した。
  • ノルマ営業を全廃した。これに伴い、上司との1on1ミーティングや360度評価などの結果が、賞与に反映される仕組みとなった。
  • 職員間での情報の格差をなくすためにタブレット端末を配付し、オンライン掲示板で情報共有している。機械に任せられることは機械に任せて、人にしかできない顧客とのコミュニケーションにもっと注力することを意識している。
  • 体験商品の受入人数を6人から1人に絞り、1人当たりの参加費を3,500円から15,000円に上げたことで、売り上げが大きく伸びた。
  • 高価格帯の商品の利用客が増えており、サービス供給量を増やす予定。
  • 遠隔システムの活用による顧客対応の実施や、設備更新により、固定費を圧縮した。
  • 文化財保護の観点から、1時間当たりの定員を制限することにする一方で、繁忙期に料金を上げたことで、繁閑差が縮小した。

人手不足の影響や対応について

  • 給与を上げて求人を出しても、なかなか応募が来ない。業界内では比較的高い給与を提示しているが、コロナの影響で業界を離れた人が戻ってこない。
  • 大阪・関西万博の影響で大阪に人手が集中し、京都での人手不足がさらに深刻になるのではないか
  • 需要が回復する見通しがあれば、雇用を復活させられるが、見通し不透明なので、どこまで増やすかの判断が難しい。
  • 外国人のお客様とのやりとりの際に、言葉が通じないことによるトラブルが発生することがある。退職したスタッフを新規採用で補充するのではなく、クラウドソーシングやスポット雇用で対応している。結果的に雇用リスクを抑えることができ、経営のスリム化につながった。
  • 2022年は、特に通訳人材が不足していた。現在は、土日や平日の午後は主に学生バイトの雇用で賄っている。以前はワーキングホリデーを利用した外国人がシフトに入っていたが、コロナ禍で減ってしまった。
  • 即戦力が不足しているので、今いるスタッフの教育面が課題。
  • 現場目線では、コロナが明けて急に忙しくなったため人手不足と感じているようだが、経営者目線では、過去の1人当たりの売上高からするとちょうど良い水準にあると考えている。
  • インターンシップ型の採用に切り替えたことで、離職率は下がってきている。
  • これまで設けてきた扶養家族手当を、子ども手当に変更した。女性比率が高く、世帯主でない社員が多いため、子どもの人数に応じて手当を支給することにした。
  • 数年前から社員教育を実施している。社員の待遇を簡単に変えることは出来ないが、各々が成長を実感することに効果を感じている。

業務効率化の工夫について

  • 業務ごと、店舗ごとに繁閑の時間帯が異なるので、朝はレストランに入っているスタッフが、昼は別部署で働くなど、工夫して対応することで、損益分岐点を下げている。
  • 請求書はデータベース管理、FAX廃止、タイムカードもクラウド上で管理、その他の事務作業は税理士、社労士に外注するなど、バックオフィス業務を効率化している。
  • 一部業界ではFAXや電話による連絡が多く、業界全体の効率化を妨げていると感じる。
  • 賃金カットの影響で、若手職員を中心に離職が増加。とくに、夜勤が伴うような職種での離職が多い。やりがいを確保するために、若手社員で顧客向けイベントの企画・実施を行うなどの取組を始めている。
  • RPA(ロボティックプロセスオートメーション)の導入やテレワークの定着などを進めている。
  • 技術は見て盗めという時代ではなくなってきているので、できるだけ業務内容を言語化するようになってきている。
  • レジのシステムを新しくしたり、簡単に教えられるようなシステムにした。
  • 短時間だけ働きたい、子どもの予定を優先したいという方には忙しい時間帯だけ入ってもらうなど、効率的かつ働きやすい環境を作れるように相談しながら進めている。
  • 券売機の導入は、言語のやり取りが不必要なうえ会計も楽になり、ミスも減るのでかなり効果的であった。

リピーター対策について

  • リピーターのための割引や期間限定の割引を用意するなどの工夫をしている。
  • 期間限定でサービス内容を変えるなど、リピーターの方も楽しめるようにしている。
  • 入会費・年会費無料の会員制度を設けている。購入金額に応じてポイントが貯まるだけではなく、京都観光に役立つ情報や、イベントやワークショップなどの情報を提供している。
  • 次回の来店時に使用できる10%割引券を導入しており、海外からのお客さんの中には、実際にその割引券を使用するために、再度来店してくださる方もいる。

京都観光モラルにつながる取組について

地域との調和に関する取組

  • 観光事業者は地域の方の支持なくしては生き残ることはできないという思いから、地域の子ども向けのサービスを立ち上げた。
  • 地域の未就学児童向けや、母子家庭向けのサービス提供を行った。
  • 市内在住の70歳以上の方はチケット代無料。また、地元の方に何回も来ていただけるように、リピーター向けにお得なプランを販売している。
  • 町がキレイであることが、外国人観光客から選んでもらう理由のひとつになるため、毎月定期的に、施設・店舗周辺の清掃を行っている。

質の高いサービスに関する取組

  • 多言語での案内に対応している。英語以外の言語での対応はお客さんによく感動される。
  • ハラル認証のメニュー、グルテンフリー、ヴィーガンメニューなども提供している。
  • お客様のニーズの多様性を重視する一方で、“「NO」と言える”ということも大切にしている。あらゆるご要望にお応えするのではなく、責任の持てる範囲でお客様に選択肢を提案するというスタンスは大切にしていきたい。

環境や景観の保全に関する取組

  • 食品ロスを削減するフードシェアリングサービスを利用している。
  • 自然を目当てに京都へお越しになる方も多く、景色の恩恵を受けて商売をさせていただいているという感覚を持っているので、植物を多く植えることを大切にしている。

防災や危機管理に関する取組

  • 海外のお客様が多いので、機材トラブルや、急病人が発生した際などに、状況を理解してもらえるように、アナウンスの準備をしている。
  • 数年前にあった河川氾濫以降、地域の方や近くの企業の方と協力して川沿いの草抜き、土のうの用意などを行っている。気軽に誰でも参加できるコミュニティとなっており、防災をきっかけに近所で良い関係を作れているのではないか。
  • 材料の調達先地域をなるべく分散させている。

その他

  • GoogleMap上での情報発信(Googleビジネスプロフィールの更新)を重視している。例えば、Googleで「雨の日、京都」と検索したときに自社がヒットするように工夫している。また、Chat GPTなどのOpenAI対策として、検索して間違った情報を訂正するなどして早くから対策を進めている。
  • 手ぶら観光が広がっているため、京都駅周辺の店舗でしかお土産を買わない傾向にある。
  • 若者を中心に、旅マエにSNS等で情報収集する人が増えており、買いたいものを事前に決めているため、余分なものを買わない傾向が強まっている。

この資料について

  • 「京都観光事業者の経営動向に関するヒアリング」については、財務省近畿財務局京都財務事務所、京都産業大学経済学部 助教 功刀祐之先生および学生の皆様にご協力をいただき実施しました。
  • 本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会 観光業界における人手不足についての調査」を明示してください。
  • 報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。
  • 各種指標には小数点以下の端数が発生しており、伸率・差の値は上記の整数値で計算した場合と必ずしも一致しない場合があります。
  • なお、調査対象施設の個別の名称やデータについては、各施設の経営に関わる機密事項のため、非公開としております。あらかじめご了承ください。

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本件に関する問い合わせ先

公益社団法人京都市観光協会 マーケティング課

075-213-0070

marketing@kyokanko.or.jp

平田・福永・堀江

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