緊急事態宣言が9月30日をもって解除され、ワクチン接種率の向上もあり、10月以降、日本国内の往来が徐々に回復してきた。解除後最初の週末となった10月2日(土)の朝、筆者は新大阪駅にいたが、旅行会社の旗を持った添乗員が同行する団体ツアー客を2グループ見かけた。いずれの団体も15名程度であったが、旅行に対する消費者の需要の高さを感じさせる光景であった。
日本と海外との往来については、新型コロナウイルスの水際対策として、ワクチン接種を条件に、10月以降、これまで14日間の待機期間であったものが、最短で10日間に短縮された。一方、海外では、各国が指定する国や地域について、指定するワクチンの接種済み証明の提出等を条件として、隔離不要とする国も増えてきた。欧米が先行しているが、アジアの中で代表的な取組を行っているのがシンガポールである。また、日本と同じように、海外との往来を厳しく制限する国や地域もあり、香港が該当する。
香港とシンガポールには、英語を話し、中華圏、都市国家、海外との中継貿易に立脚、といった共通点が指摘できるが、海外との往来再開に当たっては、両極端な対応を見せている。なぜ対応に差が出て来たのか、海外との往来再開に向けた議論を見ていきたい。
*各国における制限措置は、別途記載が無い限り執筆時(2021年10月13日)現在のものである。