京都の認知率(今回の調査において、「京都を訪れたことがある」または「京都という観光地を知っている」と回答した人の割合)は、比較的近距離にあるアジアとオセアニアでは8割を超えている一方で、欧米では6割弱でした。多くの人が京都という観光地を認知しており、距離が近いほどその割合が高いことが確認できます。
UNWTO(国連世界観光機関)のデータ[1]によると、国外旅行者数は2020年には世界全体で年間13.6億人に上ると推計されています(このうち半数を欧州が占めている理由は、国外旅行をする経済的な余裕がある人口が多いだけでなく、比較的国土面積が狭い国が多く、EURO圏内における国境を超えた移動の自由が保証されているため、数時間の移動であっても国外旅行扱いとなってしまうという背景によるものだと考えられます)。
今後、人口増や発展途上国の経済成長等により、世界の旅行者は加速度的に増えていくことが予想されていますが、もちろんこれらの全てが京都を訪れてくれるわけではありません。まずは京都という存在を知ってもらうことが条件であり、さきほどの認知率が重要な指標となります。
また、一般的に旅行者の8割は近距離圏、2割が長距離圏へ旅行すると言われているため、日本から見て遠距離圏にあたる欧米諸国の旅行者は、たとえ京都のことを知っていても訪れる可能性は低くなります。ここでは、前述のUNWTOのデータをもとに、旅行者の居住地域ごとの「近距離圏への旅行率」「遠距離圏への旅行率」を算出し、京都に来る可能性がある旅行者数を計算しました。
その結果、京都に対する潜在的な市場規模は下表のとおりとなり、現在の訪日客数の10倍を超える3億人以上の市場が控えていることになります。
[1] 「UNWTO Tourism Towards 2030」https://www.globalwellnesssummit.com/wp-content/uploads/Industry-Research/Global/2011_UNWTO_Tourism_Towards_2030.pdf