ウィズコロナ時代への適応を目指した 京都観光における事業展開(ロードマップ)について

UPDATE :
2020. 07. 14
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事業報告

こちらのロードマップは、その後一般募集した「新しい京都観光」のアイデアに加え、昨今の情勢変化も考慮したうえで、2021年7月に改訂を加えました。

改定版についてはこちらをご覧ください。

新しい京都観光のアイデア募集を踏まえた事業展開(ロードマップ)の改訂について

 

この度、公益社団法人京都市観光協会(DMO KYOTO)では、新型コロナウイルスの影響によって喪失した京都観光需要の回復に向けた事業展開のロードマップを策定いたしましたので、お知らせいたします。

新型コロナウイルス感染症の一刻も早い収束が期待される一方で、市民生活の安心・安全を守ることを第一にしつつ、新型コロナウイルス感染症と共存する「新しい生活様式」に順応することが求められております。そこで、当初の事業方針を見直し、会員をはじめとした観光事業者が新たなニーズへ対応することの支援に重点を置いた事業を、想定される市場環境の変化に応じて効果的に展開していく構想として取りまとめました。今後、このロードマップを実行するにあたっての組織体制を整えたうえで、ウィズコロナ時代の新しい観光の形が京都市内で数多く実現されることを促して参ります。

このロードマップは、6月末時点の情勢を踏まえて作成したものです。7月以降の情勢変化や、今後の京都市における観光振興計画の審議状況に応じて見直す可能性があります。

1.ロードマップが目指すゴール

当協会会員をはじめとした観光事業者の経営安定につながる質の高い観光消費を確保するために、
宿泊客数を一定水準まで回復することを目指します。ただし、新型コロナウイルスの影響が出る以前に発生した諸問題の再発を回避できるよう、地域にとって理想的な顧客像を設定して、これらの顧客層を優先的に誘客することで目標を達成することを目指します。

具体的な指標は、測定可能性や速報性を考慮して、当協会において毎月発表している「京都市観光協会データ月報」の調査対象宿泊施設における月間平均延宿泊客数とします。日本人観光客に関しては、海外旅行が難しい状況が続くことで国内旅行機運が高まると予想されるため、新型コロナウイルスの影響が出る前を上回る水準(約25万人泊/月)を一時的に突破することを目指します。また、外国人観光客に関しては、約20万人泊/月 を当面の目標とします。

2.ロードマップの考え方

(1)4つ「D」に基づいた事業展開

ウィズコロナ時代に適応したDMOを体現するために、以下の4つ「D」をマネジメントすることを標榜し、これに基づいて事業を展開します。

1) Distance Managament(衛生対策、旅マエ体験の充実による社会的距離適正化)

  • ソーシャルディスタンスの確保や衛生管理に配慮したサービスに関する業界共通の遵守項目を取りまとめることで、観光客同士や、観光客と市民との距離を適切に保ちます。
  • 上記に該当するコンテンツの発掘・認証・発信を行うことで「安心・安全に観光できる京都」の実現につながる事業者の取り組みを支援したり、旅マエの段階からでも京都を感じることができる体験を開発したりすることで、観光客と事業者との距離をコントロールします。
  • 観光が地域にもたらす恩恵を明らかにし、市民に対してわかりやすく情報発信を行うことや、市民による観光の機会を提供することを通して観光振興に対する理解を求め、市民が観光に対して抱いている心理的距離を縮めます。

2) Digital Management(デジタル技術の活用推進)

  • 観光地等における滞在状況を公式WEBサイト等で発信することにより、3密を回避するための判断材料を提供します。
  • 観光関連の事業者や従業員向けに提供してきた研修サービスのオンライン配信を拡充します。
  • 事前予約システム、キャッシュレス決済、インターネット通販、クラウドファンディングなどのデジタル技術の活用を支援することで、感染対策とサービスの効率化を推進します。

3) Demand Management(需要の分散化、ロイヤリティの高い観光客への資源集中)

  • 「とっておきの京都プロジェクト」をはじめとした、エリア、時期、時間帯の分散化を引き続き推進します。
  • 海外情報拠点を活用し、現地における情報収集や、安全・安心な京都観光のイメージ発信を、効果的に行います。
  • 京都大学経営管理大学院と連携し、災害からの回復期におけるプロモーション手法や、観光が地域にもたらす経済効果などについて研究します。
  • 京都市観光協会データ月報における主要ホテル宿泊統計等をもとに、中短期の需要予測手法開発を試み、市場見通しを可視化することで投資活動の最適化を促します。
  • 災害や風評被害などのリスクの影響を受けにくいファン・リピーター層や、今回新たに設定するターゲット層の囲い込みや需要喚起につながる取り組みを強化します。

4) Delivery Management(地域住民や在日外国人などを起点にした情報の伝達)

  • 近隣住民向けの消費喚起キャンペーンやGo to Travelキャンペーン等を利用して、いち早く緊急事態宣言解除後の京都観光を体験していただける方々とのつながりを再構築し、これを起点にして情報が伝わり徐々に観光客が戻ってくる流れをつくることで、感染第2波やその他の災害にも靭やかに対応できる産業の形成を目指します。
  • 訪日観光の再開に先立ち、国内に拠点を持つ外国人観光客向けメディアや旅行会社、在日外国人等を対象にしたプロモーションを行ったり、外国メディアによる取材をオンラインで支援したりするような取り組みを通して、京都観光の状況をいち早く海外へ拡散する取り組みを推進します。

(2)4段階に分けた事業スケジュール

今後、想定される市場環境の変化を、以下の4段階で整理します。

Phase.1 国内観光の復興期

  • 緊急事態宣言が解除され、Go To キャンペーンの開始後に至るまでの国内観光の復興期を
    第1段階と位置付け、国内観光客による延べ宿泊客数を10万人泊/月にまで回復させることを、次のPhaseへの移行の目安とします。
  • 感染症対策を強化しつつ、国内観光を中心に需要喚起につながる取り組みを開始します。インバウンドに関しては、世界12都市に設置している海外情報拠点を通した情報収集・発信を再開します。

Phase.2国内観光の隆盛期

  • Go To キャンペーンにより国内観光需要が喚起され、感染再発の懸念も払拭される一方で、
    海外においては感染リスクが解消されず渡航規制が敷かれるような状況が続くことで、海外旅行需要が国内観光へシフトし、例年以上に国内観光が活況を迎える状態を第2段階と位置づけます。ここでは、国内観光客による延べ宿泊客数を、新型コロナウイルスの影響が現れる以前までの水準である25万人泊/月にまで、回復させることを次のPhaseへの移行の目安とします。
  • ウィズコロナ時代に対応したサービスの発掘・情報発信を強化し、安心・安全に観光できる街としてのイメージ定着を図ります。さらに、これらの情報を外国人向けにも提供できる体制を整え、在日外国人等を起点としたプロモーションを展開します。

Phase.3 アジア圏を中心とした国際観光の再開

  • アジア諸国やオーストラリア・ニュージーランドなど、すでに渡航規制の緩和が検討されつつある近距離圏からの国際観光が再開する状況を第3段階と位置付けます。国内延べ宿泊客数は25万人泊/月を維持します。一方で、外国人延べ宿泊客数は10万人泊/月まで回復させることを次のPhaseへの移行の目安とします。
  • 再開される訪日観光と市民生活が調和できるよう、観光客にサービスを提供する事業者や、観光客に対して求める行動規範について、関係各所との合意形成することを目指します。また、映像素材の提供やオンラインでの取材体制の整備など、海外メディアによる取材支援を強化し、現地における京都観光の露出を高めます。

Phase.4 全世界的に需要が復活

  • ワクチンの普及や、ビザ免除などの規制緩和が以前の状態に戻ることで、全世界的に観光需要が復活した状態を、第4段階として位置付けます。外国人延べ宿泊客数は約20万人泊/月を当面の目標とし、日本人とあわせて45万人泊/月を満たすことを、ロードマップの達成の目安とします。
  • 第3段階で定めた行動規範を、実効性のあるものとして普及させるための取組を展開することで、感染流行前の観光客数を確保しつつも、混雑やマナーなどの諸問題が発生していた当時の状況には戻さないことを目指します。

3.訪問意向調査に基づいたターゲット設定

ロードマップに基づいて各種事業を展開するにあたり、昨年度事業として実施した訪問意向調査の結果を踏まえたターゲット設定を行います。設定にあたっては、従来型の地域や性年代などの属性別の分類ではなく、価値観や行動様式による分類を導入しています。

具体的には、京都が掲げる「持続可能で満足度の高い国際文化観光都市」の実現に貢献する旅行者像を「無形の文化資源にまで価値を見出し、新しい体験に投資し、成長を楽しむことを重視する、国内外の旅行者」と想定し、従来の「首都圏や欧米豪を中心とした富裕層」といったターゲットに加えることで、住民生活と調和した観光の実現を目指します。

参考1.訪問意向調査の概要

訪問意向調査では、「持続可能で満足度の高い国際文化観光都市」の実現に貢献する旅行者像を「無形資産に価値を見出し、新しい体験に投資し、成長を楽しむことを重視する人」と定義し、この条件に当てはまると考えられる国内外のサンプルにデプスインタビューを実施しました。

さらにインタビュー結果を踏まえて、国内外約5,000サンプルのWEBアンケートを実施し、旅行先の文化に対する理解度の高い観光客像を5つのパターンに分類し、それぞれの特徴に対応した今後の事業方針を整理しました。

調査期間 令和元年12月20日~27日
調査対象 日本人:日帰り圏(近畿)を含む全国の10代以上 851サンプル

外国人:米国、豪州、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、

中国、台湾、香港に居住する、訪日旅行に関心のある人 4,131サンプル

調査項目 京都への旅行経験の有無、京都への訪問意向、旅行に求めるもの、
京都に対するイメージなど

調査結果の詳細については、今後、京都市観光協会のWEBサイト等にて順次公開予定

WEBアンケートの調査概要

参考2 新型コロナウィルスに対するこれまでの取り組み

(1)オンライン研修

形 式 動画を活用したオンライン研修(e-learning) 各メニュー30分程度
対 象 京都市内の観光関連事業者、施設の経営者、従業員等
内 容 7テーマ 28のメニュー
(1)観光客減少期対策セミナ― (2メニュー)
(2)事業継続計画(BCP)研修 (2メニュー)
(3)京都観光研修       (8メニュー)
(4)デジタル活用セミナー   (2メニュー)
(5)外国語研修        (8メニュー)
(6)雇用調整助成金      (3メニュー)
(7)衛生対策         (3メニュー)

(2)新型コロナ対策緊急支援助成金の創設【京都市観光協会 独自事業】

対象者 京都市観光協会の会員
対象事業 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により要した経費(~3月末発生分)
助成率 事業実施に係る経費の3分の2以内
上限額 1事業者あたり上限20万円
交付実績 助成予定件数:233件  助成予定金額:10,775千円

(3)新型コロナ対策緊急支援助成金の創設【京都市連携事業】

対象者 市内の観光事業者等(大企業・みなし大企業除く)
対象事業 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により要した経費(4/1以降発生分)
助成率 事業実施に係る経費の4分の3
上限額 1事業者あたり上限30万円
交付実績 助成予定件数:260件  助成予定金額:65,303千円

新型コロナウイルス感染症に対する注意喚起ピクトグラム等の制作

  • 従業員向け衛生チェックシートの提供
  • ピクトグラム(事業者の取り組み)
  • ピクトグラム(お客様へのご協力依頼)
  • 感染症防止シート

(5)特設WEBページ「Stay Home, Feel Kyoto」

自宅に居ながらでも京都の魅力を感じ、癒しや活力を得ていただけるように、
公式WEBサイト上に専用ページを設け、以下のコンテンツを掲載。

  • 坐禅の解説講座 「おうちで坐禅 ~手ほどき編~ by妙心寺退蔵院」
  • ビデオ通話システムで活用頂ける背景の無償提供
  • 京都の各業界の方々から世界の京都ファンに向けたメッセージ動画
  • 「KYOTOの予習」(歴史・文化について学べる記事・動画など)

(6)デジタル活用支援パッケージ

  1. デジタルの導入や更なる活用を希望する会員とサービスやノウハウを有する会員をマッチングする窓口「デジタルお悩み相談所」の開設
  2. デジタルの更なる活用を支援するオンライン研修
  3. 資金調達型プロジェクトを支援、紹介する「京都つながるNavi」の開設
  4. Facebookを活用したコミュニティページの開設

(7)安心・安全 京都の旅

事前予約制などが導入されており、安心して歴史や文化に触れることができる体験プランを、公式サイト「京都観光Navi」内の特設ページにおいて紹介する。

(8)地元応援!京都で食べよう、泊まろうキャンペーン

対象店舗で特別プランをご利用いただいた京都市民及び市内に事業所等を有する法人を対象に、抽選券を配布し、当選者には京都ならではの豪華な賞品をプレゼントするキャンペーンを実施。

本件に関する問い合わせ

公益社団法人 京都市観光協会(DMO KYOTO)
マーケティング課 堀江、嵯峨
E-mail:marketing@kyokanko.or.jp  TEL:075-213-0070

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