インバウンド向けコンテンツのあり方を考える交流イベント 第13回「京都インバウンドカフェ」の開催について
このページの目次1. 名称2. 内容3. 開催日時4. 開催場所5. 対象(こんな方にオススメです)6. 定員7. 参加費8. 申込方法9. 協賛10. 協...
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京都市観光協会では、京都市宿泊税を活用した「旅館における外国人観光客受入促進セミナー」(第19回観光協会・ビューローインバウンドセミナー)を京都市、公益財団法人京都文化交流コンベンションビューローとともに、8月20日、京都経済センターにて開催しました。
市内では、増加する外国人観光客の多様な食のニーズへの対応が課題となっています。ベジタリアン等になじみの薄い日本でも、現在開催中のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、更なる対応が求められているところです。
そこで、今回のセミナーで取り上げたテーマは「食のバリアフリー」。ベジタリアン、ヴィーガンなどについての基礎知識や導入事例に加え、体験コンテンツの紹介や、ラグビーファンのお迎え方など、全5部構成で実施いたしました。旅館・ホテル業をはじめとする観光関連事業者で会場は満員となり、参加者は熱心に耳を傾けておられました。
最初の講演は、「インバウンド対応に向けた食のバリアフリー ~ベジタリアンを中心とした食の制限について~」と題し、ベジタリアンを含め、ヴィーガン、プラントベース(植物性)に特化したウェブサービス(レストラン検索、EC、ウェブマガジン)を運営されている株式会社フレンバシーの播氏を講師としてお招きし、多様な食の制限について解説いただきました。
ベジタリアンは世界に15億人いるといわれており、また、訪日外国人の約5%がベジタリアンであると推測されています。今後の訪日外国人数の伸びに伴い、さらにベジタリアンの人数も伸びるとも予想されています。ベジタリアンとなる(なった)理由には、健康や体質、動物愛護、宗教や文化、環境を考えて、という大きく4つに分けることができるそうです。今後、京都を訪問されるベジタリアンを含めた「家族・グループ」に対して、肉や魚を含むメニューとベジタリアンへのメニューの同時提供が対応可能となれば、さらにその対象市場が広がる期待が寄せられています。
上記の表のとおり、ベジタリアンにも多くの種類があり、ベジタリアン=サラダ・生野菜、というステレオタイプでは、本質的な面で対応できているとはいえず、一歩踏み込んでメニューの工夫をするおもてなしが必要となってきます。
また、ハラールはアルコールや豚肉などイスラーム教で禁じられたものを避けたメニューであり、保管場所や調理器具等にも配慮が必要となる場合があることも解説していただきました。
セミナーを通じ、まず「基礎知識」と「どこまで対応ができるのかの認識共有」が重要であると示唆された播氏。さらには「写真とピクトグラム(絵文字)」「アイコンの掲載」「ポリシーの提示」といった、“どうやって伝えるのか”が次のステップとして必要となってくることを教示いただきました。
続いて、京都市内で人気の嵯峨嵐山エリアで、インバウンド受入に先進的な取り組みをされている中央観光株式会社(嵐山良彌)の方に、「多様な食の受入対応のヒントについて ~インバウンドの食事対応における料理構成とポイント~」と題して講演いただきました。
ハラール認証取得のきっかけは、友人にイスラーム教徒がいらっしゃったことだそうです。認証の手続きにおいての秘訣は、難しいと感じたらすぐに「聞く」「動く」という基本をひたすら繰り返すことで、手続きに不安を感じていたもののスムーズな取得に至ったとのこと。
同社内においてはベジタリアンやアレルギー、その他様々なケアが必要な食事といった細かい分類の研究・勉強を幾度も行い、それら全てを「ユニバーサルフード」と社員間で称し、どんなご要望にも応じることを目指しておられます。
また、メニュー作りにあたっては、どのように調理担当者を説得したのか、難しい課題に面した際にチーム全員でどう取り組んだのかといったお話から、その経過と成果が多くの海外メディアで記事化されるという、「好循環事例」もご披露いただきました。
食を通じて、地域や学生、留学生や国際機関へといった様々な文化交流にも輪が広がっているそうです。
第3部は、京都観光を楽しむコンテンツ紹介として、訪日外国人観光客に人気の「日本庭園」の運営についてのご紹介で、植彌加藤造園株式会社 知財管理部 山田部長に「京都の名勝庭園を活かしたコンテンツの開発」について講演いただきました。
まず、日本庭園とは「無作為の作意」が大事なポイントと言われているそうです。壮大な自然の造形を敬って人の手を入れるが、そう見えないようにすることが大切であるとのこと。
庭の哲学では、「作庭4分、維持管理6分」(Maintenance)の法則があり、自社ではそれを育成管理(Fostering)と表現され、作庭時に注いだ愛情とお返しにもらった感動を常に忘れず、作庭時同様に愛情を注ぎ続けることを大切にされておられます。
京都市から指定管理者を受託している植彌加藤造園では、「無鄰菴」での訪日外国人に向けてのおもてなしにおいて3つの心がけをもっているそうです。1つ目は、正確な分析、2つ目は、専門性に飛躍しないこと・わかりやすい解説を行うこと、3つ目は体験型のサービス開発を行い、バイリンガルでの対応等の充実したサービスを提供されることだそうです。そういった心がけの積み重ねにより、国内外の訪問者に日本庭園の良さを感じていただきたいと取り組まれております。
最後に京都市観光協会から、食のニーズの多様化へ対応が見込まれる「ラグビーワールドカップ2019開催時での消費拡大の取組」や、インバウンド受入整備対応のための「キャッシュレス決済システムの最新トレンド」について紹介いたしました。
ラグビーワールドカップ2019日本大会を機に京都に来訪する外国人観光客向けの特設サイト「Kyoto Welcomes Rugby Fans」をご紹介。当サイトでは、来店者特典のある飲食店や免税店、スポーツゆかりの地、アクティビティ関連のモデルコース等を掲載しております。
ラグビーファンは「欧米豪からの初来日者」「長期滞在」「富裕層が多く消費額が高い」「アルコール消費も多い!」という特徴だと言われており、まさに消費拡大の機会です。
ラグビーファンの主要6カ国(アメリカ、南アフリカ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス国)の食文化や嗜好についても紹介し、大量にビールを飲むファンも多いことから、「飲み放題」プランは要注意ということに、参加者も大いに納得されていました。
食に関する多様性に続き、最後に、キャッシュレス決済の多様性とトレンドについてご紹介しました。
国際会議等の開催が続く京都において、外国人観光客の消費機会が増加するなか、欧米豪を中心に海外ではどのような決済手段が用いられているのかをご紹介しました。
特に、ラグビーの強国の中には、非接触によるクレジットカードのタッチ決済(TYPE/A・B)が主流の国もあり、日本で一般的な交通系などの電子マネー(TYPE/F)と「タッチ決済」という共通点があるものの、規格が異なっていることなどについて説明をしました。
また、アクセプタンスマークの効用についても触れ、「どのような決済手段が利用できるのか、できないのか」を明示することも、受入れ環境の改善であり、消費単価の向上につながる可能性のあることをお伝えしました。
日々新たな決済手段が紹介されるなか、より多くの決済手段を取りそろえることだけが重要なことではなく、このお店では「どんな決済が可能なのか」という情報を丁寧に発信し、海外も含めた多様な決済手段を知ることで、よりスムーズに観光客が食事や買物を楽しめる環境づくりが大切です。
(参考)
京都市観光協会の会員のうち、観光客等との対面での金銭収受を伴う営業行為がある土産店、宿泊施設、飲食店等(889 店舗)を対象にした実態調査結果について。
(詳細:https://www.kyokanko.or.jp/wp/wp-content/uploads/cashless_survey_2019.pdf )
全体的に満足度の高い評価となり、「ベジタリアンとヴィーガンの違いや食の知識が深まった」「成功事例や体験談をもっと聞いてみたい」「外国人観光客が増加する中での対策に役立てたい」という前向きな意見が寄せられました。
今後も京都市における訪日外国人への受入環境がより快適になるよう、整備支援につながるセミナーやワークショップといった企画等を開催していきたいと考えております。
開催概要
【日 時】2019年8月20日(火) 14:00~16:30
【場 所】京都経済センター 6階 会議室6-B
【参加者】旅館・ホテル業をはじめとする観光体験事業者様等 約50名
【主催】京都市
【共催】公益社団法人京都市観光協会、公益財団法人京都文化交流コンベンションビューロー
【協力】京都府旅館ホテル生活衛生同業組合
参考サイト
京都市におけるムスリム観光客受入事業 お祈りスペース及びレストラン紹介(英語)
https://kyoto.travel/en/muslim
ラグビーワールドカップ2019 特設サイト
「KyotoWelcomes Rugby Fans」 https://sports.kyoto.travel/
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