リピーターによる観光が持続可能な京都観光に貢献

京都観光総合調査等を活用した 京都観光の最新動向詳細分析結果について

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京都観光総合調査等を活用した 京都観光の最新動向詳細分析結果について

京都市観光協会では平成28年度から、京都市が毎年発表する「京都観光総合調査」の個票データを活用した詳細分析を実施しております。この分析結果を当協会の施策や事業の企画立案に活かすとともに、公開することで会員をはじめとする観光事業者の経営判断に貢献して参りました。

このたび、平成30年の京都観光総合調査(令和元年7月3日発表)をはじめとした京都観光にまつわるデータを活用して、マーケティング専門官による詳細分析結果をとりまとめましたので、下記のとおりお知らせします。

1 京都観光の概況

(1) 延べ滞在人数は横ばいで推移

平成27年(2015年)以降、京都市内に滞在する観光客の延べ人数は横ばいで推移しており、平成30年(2018年)は1日あたり21.4万人の滞在となった。これは、京都市の人口の約15%に相当する。入洛観光客の実人数が減少傾向にあるにも関わらず、延べ滞在人数が維持されているのは、近年の宿泊施設数の増加に伴って宿泊客の割合が増えることで、一人あたりの滞在日数が伸びているためである[別紙P6]。

(2) 外国人客からの愛着度が増加。観光に対する市民感情は肯定を維持しつつも、低減傾向。

京都観光を親しい友人に勧めたいと思うかどうかについての回答結果をもとに集計される、観光客の京都に対する愛着度を把握するための指標NPS(Net Promoter Score)は、外国人客は53.0(前年比2.0ポイント増)と、3年ぶりに増加となった。一方で、日本人客は16.7(同2.9ポイント減)と、2年連続の減少となった[別紙P9]。

外国人客は「街の清潔さ」に対する満足度が高いこと、「芸術」や「夜観光」に対する満足度が相対的に低いことに特徴がある。日本人は「癒やし」を重視すること、「交通渋滞」に対する満足度が相対的に低いことに特徴がある。質の高い観光の実現に向けて、これらの項目への対策強化が求められる。[別紙P11]

市民生活実感調査によると、「京都は質の高い観光都市である」ことに対する回答結果は高い水準で維持された。また、「市民にとって暮らしやすい観光都市である」ことに対する回答結果は2年連続で微減したが、引き続き肯定的意見のほうが多い[別紙P12]。

2 日本人客の動向

(1) 日本人客は減少するも、京都での減少は限定的

大阪北部地震や西日本豪雨の影響で、全国的に国内観光客は減少した(前年比12.5%減)。京都においても日本人観光客は減少したものの、前年比3.2%減と減少幅は限定的であった[別紙P14]。

(2) リピーターは主要な観光地以外にも訪問し、需要の分散化に寄与

入洛回数が増えるにつれて、人気観光地以外への訪問が増える傾向があり、リピーターの確保が観光需要の分散化につながるといえる[別紙P15]。

早朝の時間帯は、朝から拝観可能な場所として知られる「清水寺」への訪問が相対的に多くなる。一方、夜間は「河原町」や「烏丸・大宮」といった繁華街での滞在が多かった[別紙P16]。

(3) 入洛頻度を考慮した消費額の年間期待値について

1回あたりの消費単価は入洛経験が浅い観光客のほうが高くなる傾向があるが、年間期待値(入洛頻度を考慮した、1年間の消費額の累積値)にすると、入洛経験が多い観光客のほうが高くなることが分かった[別紙P21]。

3 外国人客の動向

(1) 欧米系を中心とした初訪日客に選ばれており、タイや中国との差別化が重要

訪日市場全体や、関西空港利用者と比較すると、京都は欧米からの観光客が占める割合が高い[別紙P24]。とくに平成30年(2018年)は、イタリアおよびドイツからの入洛客が成長している[別紙P29]。初訪日客が多い欧米諸国からの観光客は、訪問先として京都を選んでおり、重要な市場であるといえる。これら欧米諸国では、アジア方面の旅行先として、タイや中国が人気であるため、京都としてはこれら海外の観光地との差別化が重要である[別紙P30]。

(2) 地方周遊を好む再訪日客のニーズへの対応が求められる

平成27年(2015年)以降、再訪日客が占める割合は増えており、再訪日客はいわゆるゴールデンルート(今回は、東京、箱根・富士、京都、奈良、大阪、神戸、広島をルート上の観光地と定義)以外の地方の観光地へ周遊する傾向がある[別紙P33]。

入洛の動機は、当初は「寺院・神社」「伝統文化鑑賞」への回答が多いが、次回京都を訪れる場合に体験したいこととしては「桜・紅葉等の自然」や「温泉」に対する回答が大幅に高まる。また、次回訪日する場合の訪問希望先も「北海道」への回答が大幅に高まることから、リピーターにも京都を選んでもらうためには、こうしたニーズの変化への対応が求められる[別紙P36,37]。

京都を複数回訪れる外国人観光客は、市内の周辺観光地への訪問率が高まるため、リピーターの確保は市内全域へ観光の経済効果を波及させるうえで効果的であると考えられる。また、リピーターは、京都市に隣接する観光地への訪問率も高まることから、これらの地域との連携も今後重要になってくると考えられる[別紙P38]。

4 活用したデータ

データ名称 発表元
京都観光総合調査 京都市 産業観光局
市民生活実感調査 京都市 総合企画局
旅館業法に基づく許可施設数 京都市 保健福祉局
訪日外客数 日本政府観光局(JNTO)
訪日旅行データハンドブック 日本政府観光局(JNTO)
旅行観光消費動向調査 国土交通省 観光庁
訪日外国人消費動向調査 国土交通省 観光庁
国際線就航状況 国土交通省 航空局
出入国管理統計 法務省
アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査 日本政策投資銀行、日本交通公社
鉄道乗降客数 各運輸機関

5 問い合わせ先

公益社団法人 京都市観光協会
マーケティング課 DMO企画・マーケティング専門官 堀江 卓矢
TEL:075-213-0070
Mail:marketing@kyokanko.or.jp

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