73.4%
7.9pts
2019年差
2023年の客室稼働率は73.4%となった。前年の52.0%を21.4ポイント上回ったものの、コロナ禍前2019年の81.3%からは7.9ポイント減に留まった。2023年は、水際対策の撤廃、中国人の団体旅行の解禁、歴史的な円安の影響で、月を追うごとに2019年当時の水準に近づくように稼働率の上昇が続いたが、2019年同月を上回ったのは12月のみであり、年単位での比較では2019年に届かなかった。
913万2千泊
15.8%
2019年比
調査対象施設における2023年の延べ宿泊数は9,132,041泊となり、前年比57.1%増、2019年比38.8%増となった。日本人延べ宿泊数は、前年比10.0%減、2019年比49.1%増であった。外国人延べ宿泊数は、前年比829.6%増(約9.3倍)、2019年比29.0%増であった。なお、2019年との比較にあたっては、調査対象施設の増加の影響に留意する必要がある。
コロナ禍前からの調査対象かつ開業済みであった施設のみ(33施設)で比較すると、延べ宿泊数は前年比47.8%増、2019年比15.8%減となった。日本人延べ宿泊数は、前年比12.1%減、2019年比11.6%減であった。外国人延べ宿泊数は、前年比670.2%増(約7.7倍)、2019年比20.4%減であった。外国人需要は大きく回復したものの、物価高などの影響で日本人需要は前年を下回った。 2023年は総じてコロナ禍前の水準には届かない結果となった。
47.3%
3.6pts
2019年差
調査対象施設における2023年の外国人比率は47.3%となり、前年の8.0%を39.3ポイント上回った。
2019年の外国人比率50.9%に匹敵する高い水準となり、これは2014年の統計開始以来2番目に高い水準である。なお、2023年の全国の宿泊施設における外国人比率は19.3%であり、京都市内の主要ホテル はこれを大きく上回っている。
2023年の外国人延べ宿泊数に占める国・地域別の構成比では、北米(大半がアメリカ)が21.9%と最も多く、次いで中国が13.5%、台湾が11.5%と続いた。
中国は前年から大幅に構成比が大きくなったものの、8月まで団体旅行が制限されていたことや航空便の回復の遅れなどの影響により、2019年の構成比の半分以下に留まった。
コロナ禍直前の2019年からの国・地域別の延べ泊数増減率を、コロナ禍前に開業済であった33施設を対象に集計したところ、中国以外のアジア諸地域および北米で2019年の水準を上回った。航空運賃における燃油サーチャージ料が高騰していたため、その影響を受けにくい近隣アジア圏の需要が拡大する傾向にあったと考えられる。
18,199円
2023年の平均客室単価は18,199円となった。前年の13,406円から35.7%増、2019年の15,610円から16.6%増となり、2014年の統計開始以来の最高値となった。客室収益指数は13,356円で、前年の6,977円から91.4%増、2019年の12,691円から5.2%増となった。
ただし、当協会の独自分析によると、平均客室単価の上昇は物価と連動している可能性が高く、物価の影響を差し引いた場合の2023年の実質的な価格水準は、2019年当時をまだ1割程度下回る水準であると推定された。今後も人手不足の影響で、稼働率ではなく価格を上げることで売上を確保する施設が多くなる見通しであることから、少なくとも実質的な価格水準が2019年当時に達する程度には、客室単価は上昇する傾向が続くと考えられる。
2.07泊
0.29泊
2019年差
2023年の1人当たり宿泊日数は2.07泊となり、統計開始以来最も多かった2019年の1.78泊を大幅に上回る結果となった。滞在期間の長い外国人宿泊客の需要が回復したことと、外国人のなかでは比較的滞在期間が短い中国からの需要がまだ本格的に回復していないことが主な要因であると考えられる。
1.80人
0.01人
2019年差
2023年の一部屋当たり人数は1.80人となり、前年の1.65人を上回り、2019年の1.81人と同水準になった。複数人での利用が多い外国人需要が回復しつつある一方で、中国を中心とした団体旅行需要がコロナ禍以前ほどには達していないことで、小幅な増加に留まった。なお、日本人宿泊客のみの平均人数は1.65人で、2019年の1.67人と同水準であった。
109施設を対象に主要指標を価格帯別に比較したところ、高価格帯施設ほど客室稼働率が低く、外国人比率は高く、一部屋当たり人数は多い傾向となった。
いずれの価格帯でも客室収益指数は前年から約2倍となり、業界全体で業績の改善が進んだと言える。
61.1%
0.6pts
2019年差
市内主要旅館28軒における2023年の客室稼働率は61.1%となり、前年の47.5%から13.6ポイント増加した。2019年の稼働率61.7%と同水準となった。ただし、稼動率に比べて延べ宿泊数が2019年当時より回復していない。コロナ禍の余波で修学旅行の1室あたりの収容人数を減らしていたことが要因として考えられる。
2024年1月に臨時アンケートを実施し、回答を得た市内宿泊施設52軒によると、「人手不足の影響で、意図的に1日あたりの予約受付数の上限を調整する」と答えた施設の割合は23.1%であった。前年に同様のアンケートを実施した際の34.2%と比較すると、予約上限を調整した宿泊施設の割合は減少した。
また、人手不足の影響による予約制限の程度について聞いたところ、時期によっては本来よりも平均して約20%も供給客室数を抑制していたことがわかった。
「2023年の1室あたりの経費(原価)について2019年当時からの変化」について、回答があった40軒によると、2019年から経費が10%以上増加した施設は半数以上にのぼった。日本人宿泊客は、コロナ禍で若年層を中心に各種キャンペーンなどを利用し安く宿泊する傾向があった。2019年から経費が増加した主な理由は、「原材料費の高騰」「光熱費の高騰」という回答が多かった。
3,452軒
13.5%
2019年度比
市内の宿泊施設数は2023年度末(2024年3月末時点)で3,452軒となり、前年度末の3,444軒から増加、2019年度末の3,993軒から13.5%の減少となった。客室数は59,260室となり、前年度末の58,580室から1.2%(680室)の増加となった。2019年度末の53,471軒からは10.8%の増加となった。なお、当協会の調査に基づくと、2024年以降の主な宿泊施設の開業予定は24施設1,974室超となる見込みであり、当面は既に発表されている外資系高価格帯施設の開業に注目が集まるものと思われる。
2023年末時点の京都府の観光関連業界における労働者数(雇用保険の被保険者数から類推)は、 2019年末から4.4%減となった。2023年3月をもって雇用調整助成金が終了したことも影響し、観光関連業における労働者数が減少したものと考えられる。業界における求人倍率は、宿泊業界と関連の強い、「接客・給仕」や「飲食物調理」、「建設業」が高い水準で推移している。また、「清掃業」も 昨年に引き続いて求人倍率が上昇傾向にあり、宿泊施設の新規開業が続いたことや、客室稼働率の上昇により清掃業務の需要が増えていることも要因の一つとして考えられる。また、業界における中途採用時の賃金水準も全体的に高くなった。
103.7
3.7pts
2019年差
スマートフォンの位置情報に基づく市内39地点の来街者の指数(2019年の平均値を100とする)は、2023年は103.7となり、2022年の94.3から9.4ポイント増、2019年からは3.7ポイント増となった。エリア別にみると、岩倉、百万遍、大原野、鷹峯といった郊外地域と、四条通などの繁華街および京都駅周辺において2019年当時からの増加が目立った。
258億円
33.8%
2019年比
京都市内4百貨店における2023年の免税件数は2019年から12.1%減であったが、免税消費の単価は2019年から63.7%増となった。免税売上額は258億円と2019年の179億円を上回り、統計開始以来の最高額となった。免税以外も含む総売上額は2,350億円、これに占める免税売上の割合は11.0%となり、 いずれも2019年を上回った。
+41.6%
36.8%
2019年比
2023年の京都総合観光案内所(京なび)の来所者数は、前年から41.6%増となり、2019年からは36.8%減となった。外国人が占める割合は44.2%と、前年の10.5%を大きく上回り、2019年と同水準となった。
2023年の「行こう指数」(インターネット上における京都観光への訪問意向に関するデータをもとに2019年の平均値を100として集計)は、新型コロナウイルスが5類に移行し行動制限などが無くなったことで、年間を通して2019年の平均値を上回る水準が続いた。
全世界からの訪日旅行に関する需要指数は、主要な国・地域で年間を通して2019年の指数を上回った。特に円安が進行した2023年後半にかけて高水準となった。
客室稼動率は人手不足や新規施設開業の影響で、2024年も2019年当時の水準にまで至らない見込みである。客室稼動率を抑えるかわりに客室単価を上昇させる経営方針をとる施設が増えていることに加えて、物価高に伴う経費上昇分を賄う必要があることなどを考えると、客室収益指数はさらに10%程度の上昇が予想される。
中国からの宿泊客は、徐々に増えてきているものの、航空路線の回復が遅れていることや本国における不景気の影響で、当面は2019年当時の水準にまで至らないと考えられる。一方、欧米系の訪日客を中心に、すでに来年の春頃の予約や問合せも増えている状況であり、今後も多方面の国・地域からの安定した宿泊需要を期待することができる見通しである。
京都市内における日本人および外国人の宿泊状況等をタイムリーに把握できるよう、平成26年(2014年)4月以降、京都市内の主なホテルの協力を得て、国・地域別の調査を毎月実施。なお、本調査では、ビジネス、観光を問わず、日本国籍以外のパスポートを有する人すべてを「外国人」として定義している。
20日間以上 休業 |
10~19日間 休業 |
1~9日間 休業 |
休業なし | 調査対象 施設 |
客室数 | |
2014年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 25 | 7,619 |
2015年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 28 | 7,837 |
2016年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 34 | 9,083 |
2017年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 37 | 9,182 |
2018年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 54 | 11,637 |
2019年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 59 | 12,796 |
2020年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 81 | 15,330 |
2021年度末 | ━ | ━ | ━ | ━ | 109 | 18,522 |
2023年12月 | 0 | 0 | 0 | 110 | 110 | 18,925 |
※前年と本年では対象施設数・客室数が異なり、毎月の調査では当月だけでなく前年同月の数値もいただいているため、今回発表する前年の数値は昨年発表した数値と異なる場合がある。
調査対象期間、対象ホテルが臨時的に休業した場合は、通常営業していた期間のみを対象にして客室稼働率を算出する。
例)100部屋を有するホテルが、以下のように営業をしていた場合
➀ 1月1日~10日期間(10日)は100室のまま通常営業し、利用のあった客室数は200室
➁ 1月11日~20日期間(10日)は50室に絞って営業し、利用のあった客室数は100室
➂ 1月21日~31日の期間(11日)は休業
販売可能客室数: 100室×10日(➀期間)+ 50室×10日(➁期間) = 1,500室
客室稼働率 :利用のあった客室数300室 ÷ 営業期間中の販売可能客室数1,500室 = 20%
延べ宿泊客数 | 宿泊した人の宿泊数の合計 例)Aさん1泊、Bさん3泊の場合、Aさん1泊+Bさん3泊=4人(泊) |
実宿泊客数 | 宿泊施設に宿泊した人の人数 例)Aさん1泊、Bさん3泊の場合、Aさん1人+Bさん1人=2人 |
販売可能客室数 | 日々販売されている客室数の月間累積値を示す。 例)100部屋を有するホテルにて、20室が改装工事中、80室を30日間販売していた場合、販売可能客室数:80室×30日=2,400室 |
稼働客室数 | 宿泊客が実際に利用した客室数 |
客室稼働率(OCC) | 「販売可能客室数」における「稼働客室数」の割合 |
平均客室単価(ADR) | 稼働した全ての客室の販売価格の平均値。P25の客室収益指数(RevPAR)等の数値は、ホテルデータサービス会社STR(本社:イギリス・ロンドン)からの提供によるもので、上記の施設とは対象が一部異なる。 |
客室収益指数(RevPAR) | 客室稼働率に平均客室単価を乗じた値であり、宿泊施設の経営指標として重視されている。 |
外国人比率 | 「総延べ人数」における「外国人延べ人数」の割合 |
前年比 | 「当年の数値」を「前年の数値」で割り、1を差し引いた値 |
構成比 | 「外国人延べ人数」における「各国・地域の延べ人数」の割合 |
観光庁「宿泊旅行統計」(第2次速報値) |
|
日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数」 |
|
出入国在留管理庁 「港別 入国外国人の国籍・地域」 |
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STR「ホテル産業データ」 |
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京都府労働局「職業安定業務指標等」 |
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KDDI Location Analyzer |
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VLeライナック「i-Catch」 |
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Google Travel Trends Destination Insights with Google |
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京都市保健福祉局「営業許可施設数」 |
|
株式会社建設ニュース「建築ニュース」 |
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空港各社および航空会社「ダイヤ情報」 |
|
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「外国為替相場」 |
|
本資料の数値を引用する場合は、「出典:京都市観光協会データ年報(2023)」を明示してください。
ただし、P25のSTRデータについては、STRの書面による許諾を伴わない再出版もしくは二次使用は固く禁じられています。なお、報道・メディア媒体への掲載については、(公社)京都市観光協会(担当:堀江)までお問合せください。
なお、調査対象施設の個別の名称やデータは、各施設の経営に関わる機密事項のため、非公開としております。
あらかじめご了承ください。
京都市全体の観光動向の把握については、ほぼすべての市内宿泊施設(旅館業法許可施設)を対象とする「京都観光総合調査」(京都市から年1回発表)が基本指標となる。当調査は、インバウンドマーケットの傾向を把握するための、京都市内の主なホテルを対象とするサンプル調査であるため、その他ホテルや旅館、簡易宿所、いわゆる「民泊」等に宿泊した外国人客は含まれておらず、訪日外客数(日本全体)との比較等も参考分析という位置づけとなる。
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マーケティング課 神田・堀江